2022.03.07
不動産投資

プロパーローンとは|アパートローンとの違い、メリットなど

不動産投資では、多くの人がローンを組んで物件を購入します。ローンにはいくつか種類があるため、それぞれの特徴やメリット・デメリットを掴んでおくことが重要です。中でも、プロパーローンは一般的にあまり知られていない商品ですので、本記事ではプロパーローンの特徴、よく比較されるアパートローンとの違い、ローンを組む際の流れについて詳しく解説します。

 

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プロパーローンとは?

プロパーローンとは、金融機関が独自に調達した資金を貸し出すローンのことで、オーダーメイド型の融資が可能であること、保証会社が不要であることが特徴です。すべての金融機関で扱っている商品ではないため、住宅ローンやアパートローンと比較すると利用は少なく、一般的な認知度は高くありません。

プロパーローンを提供する金融機関は、貸付金利を得られるメリットがある反面、ローン利用者の返済が滞った場合に保証会社への請求ができないことから、回収できなくなるリスクを抱えています。一方、ローン利用者には、保証会社を利用せずにオーダーメイド型のローンを組むことができるというメリットがある反面、他のローンよりも審査基準は厳しく、融資期間が短期になりやすいというデメリットがあります。

プロパーローンとアパートローンの違い

投資用物件のローンには、プロパーローン以外にアパートローンもあります。本章では、プロパーローンとアパートローンの違いについて紹介します。

保証会社

前述したようにプロパーローンでは保証会社が不要ですが、代わりに保証人や連帯保証人を求められることが一般的です。そのため、保証人となる人を見つけられない場合は、プロパーローンの利用が難しくなる可能性があります。さらに、金融機関によっては独自の保証人の条件を設けていることがあるため、仮に保証人となる人を見つけられても、基準をクリアすることができずにローンを組めないという可能性もあります。

一方、アパートローンでは、ローン利用者が返済できなくなった場合に備えて保証会社を通すことが決められています。保証会社を利用すると保証料は発生しますが、保証人や連帯保証人を立てられない人でも確実に利用できるのがメリットといえます。なお、アパートローンに限らず、多くのローンでは保証会社の利用を必須とするケースが多くなっています。

審査基準

プロパーローンの審査基準はアパートローンよりも厳しいです。保証会社を利用しないため、ローン利用者の返済が滞った場合に金融機関は貸し倒れのリスクが高くなることが関係しています。

その点、アパートローンの場合は、保証会社が事前に細かい審査を行うことから、一定の信頼が担保されているという事情もあります。審査のポイントとしては、アパートローンだと物件の収益性・資産価値・ローン利用者の属性などが対象となりますが、プロパーローンは上記に加えて自己資金が豊富にあることが評価される傾向にあります。

なお、ローンを組む際に金融機関側へ提出するものに事業計画書がありますが、万が一、収支が悪化した時でも返済が滞らないように、余裕のある収支計画になっているかどうかも重要視されます。

ただし、プロパーローンはアパートローンと違い、各金融機関が案件ごとに独自の基準を設けているため、詳しい審査基準はあまり公表されていないのが実態です。あくまで全体的な傾向として、アパートローンよりもプロパーローンのほうが審査基準は厳しい、という程度に理解しておきましょう。

資金の用途

プロパーローンはオーダーメイド型の融資だと上で説明しましたが、これは資金の用途に制限がないことを表します。投資用・投資用以外の不動産の購入にとどまらず、不動産購入以外の分野で利用することもできます。そのため、個人が居住用住宅購入のローンとして利用することも、企業が事業拡大のための資金調達手段としても利用することも可能です。

一方、アパートローンはパッケージ型のローンであるため、資金の用途は賃貸用アパートまたはマンションの購入に限定されています。

金利

プロパーローンの金利には相場がなく、案件によって大きく変動するという特徴があります。収益性・事業性が高い物件であればアパートローンよりも低い金利で融資を受けられる可能性はありますが、金融機関は保証会社を通さないため貸し倒れリスクを負っていることから、いずれにしても厳しい審査のうえ決定されます。なお、全体的な傾向としてはアパートローンよりも高めの金利で貸し出すケースが多くみられます。

一方、アパートローンだと金利の範囲はある程度決まっています。大体の相場は1%前半~2%後半ですが、金融機関や物件の状況によっては4%を超える場合もあります。一般的に、居住用物件のローンである住宅ローンに比べてアパートローンの金利は高めに設定されており、収益性があまり期待できない物件の場合はより高く金利を設定されるケースも存在します。

融資金額

プロパーローンは融資金額の上限が定められていないため、年収を大きく上回る高額な融資を受けることもできます。審査基準は厳しいものの、収益性や事業性が高いと認められれば少ない自己資金でも大きな資金を調達できる手段となります。

一方、アパートローンだと金融機関ごとに融資金額の上限が決められているので、定められた金額以上の融資を受けることは原則としてできません。住宅ローンよりは高めの設定がされていることが多いものの、プロパーローンのように上限なく借りられるわけではないため、手元の資金を大きく上回る高額な物件を購入するのは困難といえます。

融資期間

プロパーローンの融資期間は案件ごとに決定されるため、上限は特に定められていません。収益性や事業性の高い物件であれば、35年を超える長期間の融資を受けられる可能性もあります。

それに対し、アパートローンは、金利や融資金額と同様、融資期間についても金融機関ごとにある程度の上限が決まっています。概ね上限を35年以内とするケースが多く、それよりも長期間の融資は基本的に認められていません。そのうえ、原則として建物の法定耐用年数を融資期間の上限とするため、耐用年数が少ない木造のアパートなどは融資期間が短くなる傾向にあります。

◆こちらの記事では、不動産投資ローンを組むメリットと注意点、ローンを組むときに大切な4項目(金利、借入金額、返済期間、返済方法)について詳しく説明しています。ぜひご覧ください。
不動産投資ローンの基本を解説!審査や種類、借り換えなど

自己資金

プロパーローンは金融機関の貸し倒れリスクが高い関係から、まとまった自己資金がなければ融資を受けられないケースが多いです。一方、アパートローンの場合は自己資金がなくても融資を受けられるケースがあり、収益性・事業性が高いと判断された物件は有利になります。

基本的に、金利・融資金額・融資期間・自己資金のすべてにおいて、アパートローンよりもプロパーローンのほうが厳しい条件になるものと考えておいて差し支えありません。

プロパーローンのメリットとデメリット

では、プロパーローンの具体的なメリットとデメリットには何があるのでしょうか。

【プロパーローンのメリット】

  • 保証会社が不要であるため、保証料が発生しない
  • オーダーメイド型なので、さまざまな場面で活用できる
  • 低金利、長期間の融資を受けられる可能性がある
  •  
    【プロパーローンのデメリット】

  • 保証人、または連帯保証人が必要
  • 審査が厳しく、審査期間も長い
  • 場合によっては高金利、かつ、短期間の融資になる可能性がある
  •  
    繰り返しとなりますが、プロパーローンは保証会社が不要であるため、保証料がかからないのはメリットであるものの、代わりに保証人や連帯保証人を立てることが条件となる場合がほとんどです。また、オーダーメイド型という性質上、融資金額はある程度ならば利用者の要望に合わせてもらえますが、審査が厳しいうえに結果が出るまでの期間が長いというデメリットも抱えています。

    金利や融資期間は、ローンを組むための事業の内容によっては他のローンよりも好条件になる場合がありますが、金融機関としては貸し倒れリスクが高まることから、よほど信頼できる事業でなければ他のローンよりも高金利かつ短期間の融資になる可能性があるのが実態です。

    プロパーローンがおすすめな人

    プロパーローンは具体的にどのような人におすすめできるのでしょうか。代表的な4つのタイプを紹介していきます。

    事業拡大の計画がある人

    不動産投資の事業を拡大する計画のある人は、融資金額の上限が定められていないプロパーローンがおすすめです。仮にアパートローンを利用する場合、融資金額の上限が定められているため、高額な物件を購入しようとすると上限金額を超えてしまい、購入を断念せざるを得ない場合があります。しかし、プロパーローンであればアパートローンを大きく上回る金額の融資を受けられる可能性があります。

    特にアパートやマンションの一棟投資をする場合だと多額の資金が必要になるため、そもそもプロパーローンでなければ購入することが困難な場合があると想定されます。もちろん、多額のローンを組むことにはリスクもありますが、長期的なビジョンに基づいた事業計画があり、事業拡大の意思が強い人には最適な方法だと考えられます。

    物件の収益性が高い人

    プロパーローンは金融機関の審査が非常に厳しいことは既に述べたとおりですが、物件の収益性が高ければ審査に通りやすくなります。

    アパートローンでは物件の収益性のほかにも利用者の年収・属性が重視されますが、プロパーローンはどちらかといえば物件の収益性のほうに比重を置くのが特徴です。仮に年収が低くても、収益性が高い物件であれば審査に通る可能性は高まるといえます。そのうえ、物件の収益性が高いことが理由で、金利が低くなったり、融資期間が長くなったりするなど、より好条件でローンを組める可能性が増すことも考えられます。

    自己資金に余裕がある人

    プロパーローンは審査において物件の収益性が重要なポイントだと説明しました。金融機関は独自に調達した資金を貸し出すことから、融資にあたり高いリスクを背負うことになりますので、万が一、物件の収益性が悪化した場合に利用者はローンを返済できるだけの自己資金を備えているかどうかを重視する傾向にあります。

    また、ローンを組む利用者としても、自己資金が少ないと、空室の発生などでキャッシュフローが赤字に転落してしまったらローンを返済できなくなってしまう恐れがあります。たとえ優良物件を購入できたとしても、賃貸経営では何が起こるかわからないため、ある程度の期間は収益がなくてもローンを返済できるだけの自己資金を蓄えておくことが大切です。

    属性が高い人

    ローン利用者の年収・勤務先・勤続年数・健康状態などの属性は、どのようなローンを組む際でも必ずチェックされます。物件の収益性や事業性が重視されるとはいえ、その人の属性も審査においてはポイントとなります。属性は、自己資金と同様、高ければ貸し倒れリスクが低く信用性があると判断されるため、金融機関から好条件で融資を受けられる可能性は高まります。アパートローンや住宅ローンでも共通することですが、たとえば大手企業に長期間勤めている人などは審査に通りやすい傾向があります。

    プロパーローンを組む流れ

    実際にプロパーローンを組む場合、どのような流れで行われるのか解説します。

    事業計画書の作成

    事業計画書とは、投資物件の収益性などの情報をまとめた計画書です。不動産投資かどうかに関係なく、事業を始めるために金融機関から融資を受ける際には、利用者側が必ず用意するものとなります。事業計画書には、建物や土地の情報だけでなく、家賃収入・経営プラン・収支計画などを根拠のある数字とともにできるだけ具体的に記載する必要があります。事業計画書に記載すべき内容として以下の項目が該当します。

    ・事業内容(賃貸事業)
    ・事業の目的や目標
    ・市場規模
    ・競合分析
    ・経営プラン
    ・収支計画

     
    なお、事業計画書に指定のフォーマットはありませんので、内容が網羅されていればどのような書式でも問題ありません。実際に作成するにあたっては、不動産会社などに相談して事業計画書のフォーマットを受け取り、作成例を見ながら進める方法が一般的です。また、インターネット上で無料のテンプレートや作成例をダウンロードすることができるため、ご自身で調べながら独自に作成することもできます。

    必要書類の準備

    プロパーローンは金融機関が独自に企画するオーダーメイド型のローンであるため、必要書類は一律に決まっているわけではありません。一般的に必要とされる書類を以下にまとめますので、参考にしてください。

    ・物件概要書
    ・登記簿謄本、公図、地積測量図
    ・事業計画書、ローンの返済予定表
    ・レントロール(貸借状況の一覧表)
    ・売買契約書、重要事項説明書
    ・本人確認書類
    ・源泉徴収書
    ・実印・印鑑登録証明書
    ・収入証明書 など

     
    基本的にはアパートローンで必要とされる書類と大きな違いはありません。ただし、プロパーローンはアパートローンのように金融機関のWebサイト上に情報が公開されているケースは少ないため、実際に審査を申し込む場合は前もって金融機関へ確認することをおすすめします。

    事前審査と本審査の申込

    申込は事前審査と本審査の2段階で行われます。事前審査では主に申込条件・個人の信用情報・不動産の担保評価額・返済負担率などが重要視されます。事前審査に通過すると本審査へと移りますが、事前審査に通っていれば基本的には本審査で落ちるケースは稀であると考えられています。

    繰り返しとなりますが、プロパーローンの審査は他のローンよりも慎重に行われるため、審査基準が厳しいことに加え、審査の期間も長くなる傾向にあります。また、金融機関によっても審査基準や期間には違いがあることがあります。審査期間に関しては事前に金融機関へ問い合わせておき、目安を確認することをおすすめします。

    プロパーローンは自宅購入時にも使われることがある

    これまで投資物件の購入を前提としたプロパーローンの解説をしてきましたが、「資金の用途」の箇所でも紹介したとおり、個人が居住用住宅購入のローンとしてプロパーローンを利用することもできます。そこで、自宅の購入でプロパーローンと住宅ローンを使う場合にどういった違いがあるのか、詳しく解説します。

    プロパーローンと住宅ローンの違いとは

    プロパーローンと住宅ローンの大きな違いは、保証会社の保証がついているかどうかです。住宅ローンの場合は、保証会社の利用が融資の条件となっていることがほとんどです。保証会社を利用していると、仮に住宅ローンを組んだ人が債務を返済できなくなっても、保証会社が代わりに返済してくれるため、金融機関は貸し倒れリスクを防止することができます。

    一方、プロパーローンだと保証会社が不要であるため、金融機関がすべてのリスクを負うことになります(ただし、ローンの利用者は保証人もしくは連帯保証人を見つける必要はあります)。そのため、ローンの利用者側には保証会社への保証料を抑えられるメリットがあるほか、保証会社の審査に通過できない場合でもローンを組むための手段のひとつになります。

    ただし、プロパーローンでは保証会社を通さないぶん金融機関側のリスクが高いため、審査基準が厳しい・審査に長い時間がかかる・住宅ローンよりも金利が高めであることが一般的です。したがって、保証会社の保証料がかからないというメリットがあるとしても、金利や諸費用などを加味したトータルのコストを考えると、住宅ローンよりも割高になる可能性がある点をよく理解しておく必要があります。

    プロパーローンの性質を理解して慎重に判断しよう

    プロパーローンを中心に、アパートローンとの違いについても説明しました。それぞれにメリット・デメリットがあるため、不動産投資においてどちらの利用が望ましいかは一概にはいえません。プロパーローンは金融機関によって審査基準や融資期間、金利などが大きく異なるため、実際に金融機関で内容を確認してから判断することをおすすめします。これから不動産投資を始めるという人は、それぞれのローンの特徴をよく把握したうえで、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

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