2022.12.22
不動産投資

賃貸併用住宅とは?メリット・デメリットと間取りについて

賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅を1つにまとめた建物のことです。得られる家賃収入をローン返済に充てられたり、老後の収入源にできたりなど、さまざまなプラス効果を期待できます。この記事では賃貸併用住宅のメリット・デメリット、間取りについて詳しく解説をします。

 

オーナーのための家賃保証
「家主ダイレクト」

家主ダイレクトは、27万人を超えるオーナーに利用されている「オーナーが直接使える」家賃保証サービスです。

  • 賃貸経営をしているけど、なぜか手元にお金が残らない
  • 家賃の値下げはせず空室対策をしたい
  • 月々の管理コストを削減したい

こうしたお悩みを抱えている方は、まずは資料ダウンロード(無料)しお役立てください。

賃貸併用住宅とは?

ここでは、賃貸併用住宅の特徴や、適している土地などについて解説をします。

賃貸併用住宅の特徴

賃貸併用住宅とは、自宅の一部が賃貸住宅になった建物のことです。たとえば、1階部分に家主が住んで2階部分を第三者に貸すなど、1つの建物の中に自宅と賃貸住宅が存在します。自宅の一部分を貸し出すことにより、家賃収入が得られるのが最大のメリットです。

近年では賃貸併用住宅を新築で建築するケースが多くみられ、大手ハウスメーカーによる約1万棟の施工のうち、約5%を賃貸併用住宅が占めていることが分かっています(※)。居住面積に占める自宅部分の割合が25%以上50%未満の建物ならば、住宅ローンを利用することができるので、賃料収入でローンを返済することが可能です。

なお、賃貸部分の戸数は平均すると2戸~6戸が多く、アパートやマンションなどの経営と比較すると収益が多いほうではありません。しかし、アパートローンより金利が低い住宅ローンを利用しながら収益物件を取得できるので、資産形成の1つとして注目されています。

※参考:国土交通省 – 賃貸併用住宅を利用した住宅需給のミスマッチの解消について

賃貸併用住宅を建てるのに適している土地

賃貸併用住宅はオーナーの自宅であるとともに、第三者の住まいとして貸し出す賃貸物件でもありますから、立地条件も重要なポイントです。賃貸併用住宅を建てる場合は、立地条件や土地の広さなどに関して以下のような条件がそろっていると、今後の賃貸経営がうまく行く可能性が高まります。

・交通や生活の利便性が良い
・賃貸併用住宅を建てられる広さがある
・人が多いエリアにある

駅から近く、スーパーや学校、病院などが周辺にある立地条件の土地に建てるのならば、入居者を募集しても比較的見つかりやすいでしょう。

また、賃貸併用住宅は一般的な家よりも規模が大きいため、ある程度広い面積の土地でないと建てられません。入居者の自家用車を駐車できるスペースを用意することも必要です。そのうえ、人が多いエリアにあるほうが賃貸市場の流動性が高いため、入居者が退去しても次の入居者が決まりやすい傾向があります。

すでに所有している土地が賃貸併用住宅に向くならば、そのまま利用すると良いでしょう。これから土地を取得して賃貸併用住宅を建てる場合は、利便性の良い土地をおすすめします。

賃貸併用住宅のメリット

賃貸併用住宅を建てることで得られる主なメリットは以下の3つです。

1.家賃収入をローン返済に充てられる
2.住宅ローンを利用して建てられる
3.節税効果が期待できる

ここでは、それぞれのメリットについて解説をします。

家賃収入をローン返済に充てられる

賃貸併用住宅の大きなメリットは、家賃収入をローン返済に充てられることです。得た家賃収入はそのまま住宅ローンに充てられるため、ローン負担が軽減されます。

たとえば、住宅ローンの返済額が毎月20万円だとします。月6万円で貸し出す部屋が3室ある場合、月6万円×3部屋分の家賃=18万円を得られることになります。単純計算ですが、毎月の住宅ローンの返済額を実質2万円にできるということです。

ローン完済後には家賃収入を副収入として活用できるので、リタイア後の生活資金としても使えます。

住宅ローンを利用して建てられる

一般的な賃貸用の住宅は事業用の建物に該当しますので、マイホーム購入時の融資である住宅ローンは利用することができません。この場合、利率の高いアパートローンなどを利用することになります。一般的に住宅ローンの金利は1%以下ですが、アパートローンなど事業用ローンの金利は2~4%程度と、金利にはかなりの差があります。

賃貸併用住宅では住宅ローンを利用することができます。ただし条件として、住宅面積のうち50%以上を自宅スペースにする必要があります。自宅用スペースが50%に満たない場合は、自宅用スペースと賃貸スペースを分けて区分登記すれば、自宅用のスペースのみ住宅ローンを利用することが可能です。この場合、賃貸スペースはアパートローンなど事業用のローンを利用します。

自宅部分に関しては住宅ローン控除を受けられますが、賃貸部分は控除の対象外です。借入残高を自宅と賃貸の面積で按分して、自宅部分のみで控除できる金額を算出します。

なお、2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した場合の住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高(自宅部分のみ)に対して0.7%となり、控除期間は13年間です。詳しくは、財務省のこちらのページをご覧ください。

◆住宅ローンと不動産投資ローンの違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産投資ローンと他ローンの違い!審査難易度や借り換えも

節税効果が期待できる

賃貸併用住宅を建てると、以下の3つの税金に対して節税効果が期待できます。

1.所得税の減税
2.相続税の減税
3.固定資産税の減税

まず、確定申告をすることによって所得税を減税することができます。住宅ローン控除や青色申告特別控除、管理費などの経費を計上すると所得税を抑えられます。また、賃貸併用住宅は、通常の自宅と比べると土地や建物が時価よりも安く評価されるため、相続財産価格を圧縮できます。⼆次相続を踏まえた「小規模宅地等の特例」による節税効果も期待できます。

そのうえ、固定資産税の減税効果もあり、自宅の所有にかかる固定資産税の軽減措置を受けられます。土地の上に家屋を建てると、1戸あたり200平方メートルまで課税標準額が1/6に減額され、200平方メートルを超えた部分については課税標準額が1/3に減額されます。土地を更地のまま所有していると固定資産税は多く課税されますので、土地活用のひとつとして賃貸併用住宅を建てることは固定資産税を抑えることにつながります

賃貸併用住宅のデメリット

賃貸併用住宅は、副収入を得られたり金利の低い住宅ローンを利用できたりと、金銭面で多大なメリットが受けられますが、その一方でデメリットも存在します。

立地や集客が大事になる

賃貸併用住宅は、自宅であるだけでなく賃貸物件でもありますので、入居者が住みたくなるような立地条件である必要があります。駅から徒歩10分以内だったり、スーパーなど生活に関連した施設が周辺にあったりといった具合です。

また、一般的なアパート経営より規模が小さいため、集客や管理を自分で行うオーナーも少なくありませんが、入居者を募集するときの集客方法は重要な要素です。自分で集客するのが難しい場合は、客付けに強い不動産会社に依頼するのも良い方法です。

すぐに売却できない可能性がある

賃貸併用住宅は一般的な住宅とは違う仕様でつくられているため、売却するときに買主が見つかりにくい可能性があります。基本的には「賃貸併用住宅が欲しい」という人にしかニーズがないため、市場における流動性は低いといえます。

通常、不動産投資で利益を上げようとする人はアパートやマンションなどの投資用物件を取得するため、賃貸併用住宅を購入する層はそれほど多いわけではありません。いざ売却しようと思っても、すぐに売れない可能性があるということを念頭においておきましょう。

オーナーと入居者の間でトラブルが起こる可能性

賃貸併用住宅は、オーナーと入居者が同じ屋根の下で暮らすことになります。距離が近すぎるため、オーナーと入居者の間でトラブルが起こる可能性もないとはいえません。たとえばオーナーが上の階に住む場合、足音がうるさいなどのクレームを下の階に住む入居者から受けることもあり得ます。

また、玄関付近で頻繁に顔を合わせてしまったり、エントランスからオーナーの自宅の一部が見えてしまったりするなど、プライバシーの面で問題が発生することも考えられます。このような場合は、入居者とオーナーが利用する玄関を別々にする、目隠しに植栽を設置するなど、適切な対応が求められます。

家賃回収やクレーム対応など入居者管理で揉めたくないときは、管理を不動産会社に依頼するのも良い方法です。

賃貸併用住宅の間取りについて

賃貸併用住宅には、下図のようにいくつかのパターンがあり、それぞれ間取りに違いがあります。代表的な間取りは以下の3点です。

・横割りタイプ
・縦割りタイプ
・多層階タイプ

それぞれのメリット・デメリットについて解説をします。なお、どの間取りも住宅ローンが必ずしも適用になるわけではありませんので、ご注意ください。

横割りタイプ


賃貸併用住宅の間取りを横割りにした場合、上図のようになります(イラストでは1階が賃貸となっていますが、1階が自宅というパターンもあります)。自宅が1階の場合と、2階以上の場合では、メリット・デメリットが異なります。

【自宅が1階の場合】

メリット デメリット
・上下階の移動がないので老後も住みやすい
・庭を活用できる
・自宅と賃貸のスペースを区分けしやすい
・上階(入居者)の生活音が気になる
・採光や眺望が望めない場合がある
・防犯面に不安がある

 
オーナーの自宅が1階の場合は、上下階の移動がないので高齢になっても住みやすいのがメリットです。居住スペースがフラットなので足腰が弱まっても生活しやすいうえ、庭が使えるのでガーデニングやバーベキューなども楽しめます。自宅と賃貸のスペースを区分けしやすいので、プライバシーを確保しやすいというメリットもあります。

一方で、自宅が下の階になるため、上の階の生活音などが気になる場合があります。建築する際には上の階の防音対策をきちんと施しておくことが必要です。そのうえ、立地条件によっては光が入りにくく、窓からの眺めも期待できない場合があります。1階は空き巣などが侵入しやすいので、ホームセキュリティーを依頼するなど防犯性を高めることも必要です。

続いて、自宅が2階以上の場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

【自宅が2・3階の場合】

メリット デメリット
・採光や眺望、風通しが良い
・上階からの生活音がない
・屋上を設置すればガーデニングなどを楽しめる
・自宅部分と賃貸部分のアプローチが同じ動線になりやすい
・自宅の生活音に関して下階の入居者に気を遣う可能性がある

 
自宅が2・3階の場合、部屋の中に光が入りやすく、窓からの眺めが良いのはメリットです。風通しも良いので、居心地良く生活できる可能性があるでしょう。1階が自宅の場合とは違い、上の階からの生活音などに悩まされることもありません。屋上を設置すればガーデニングなども楽しめます。

一方で、自宅部分と賃貸部分のアプローチが同じ動線になりやすいことはデメリットといえます。エントランスが1階になるため、オーナーと入居者が頻繁に顔を合わせる場合があり、プライバシーの面で気になる人がいるかもしれません。また、上の階に住んでいると、自宅の生活音に関して下の階の入居者に気を遣ってしまう可能性があります。何気ない音に敏感な住人もいるので注意が必要です。

縦割りタイプ


賃貸併用住宅の間取りを縦割りにした場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット デメリット
・採光、通風、眺望がどれも良い
・オーナー宅と賃貸住宅が独立しているのでプライバシーを確保できる
・上下階の生活音に関する問題が発生しない
・庭や駐車場を確保できる
・ある程度広い敷地でないと実現できない
・自宅内に階段を設置するので、その分の床面積が少なくなる

 
縦割りタイプは、ひとつの建物を縦に割っているため、採光・通風・眺望に関して問題がないのは大きなメリットです。オーナー宅と賃貸住宅が独立しているのでエントランスが別々になり、プライバシーも確保できます。

また、横割りタイプのように上下階の生活音に関する問題が発生しません。お互いの生活音が気にならないため、気を遣わずに暮らせます。そのうえ、庭や駐車場もそれぞれが確保できるのでガーデニングなども楽しめますし、わざわざ駐車場を借りる必要がないのもメリットです。

ただし、縦割りタイプの賃貸併用住宅は、ある程度広い敷地でないと建築できないのはデメリットです。横割りタイプのように上の空間をそれほど利用できないので、敷地が狭い場合には適していません。自宅内に階段を設置することになるので、その分だけ居住スペースも狭くなります。

多層階タイプ


最後に、賃貸併用住宅を多層階にした場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット デメリット
・都市圏などにある土地を有効活用できる
・賃貸部分の収益性が高いので、自己資金が少なくても建築できる
・相続税対策になる
・通常の賃貸物件のように空室リスクや入居者に関するトラブルが予想される
・建築資金が高額
・金利が上昇すると総返済額がアップする
・不動産市場では流動性が低い

 
収入型の住宅として収益性が高いのは、多層階の賃貸併用住宅です。このタイプは賃貸部分が多くなるため、まさに「働くおうち」として毎月高額な家賃収入を得られます。都市圏にある地価の高い土地などを有効活用するのに適しています。賃貸部分の収益が多いため、高額な融資を受けられる可能性があることから、自己資金が少なくても建てやすいというメリットがあります。

また、相続税対策としても有効です。「貸家建付地」として使用すれば、自用地より土地の相続税評価額が下がるので節税効果があります。家屋も貸家の場合は固定資産税評価額の70%が評価額となるため、一般的な自宅よりも評価額を下げることができ、土地と家屋の評価額を大幅に減らせるといえます。

仮に二世帯で暮らして賃貸事業をしている場合には「小規模宅地等の特例」も利用できるので、被相続人等の貸付事業用の宅地は200平方メートルの部分まで50%を割り引いて評価されます。このようなメリットから、都市圏などにある地価の高い土地を所有している人は、二世帯住宅で賃貸事業を行うと相続が発生したときの税金の負担を軽減できます。

デメリットは、通常の賃貸物件のように空室リスクや入居者に関するトラブルが予想される点です。一般的に部屋数が多いほど、リスクやトラブルの数は発生しやすくなります。また、建物が大きいと建築資金が高額になるため、空室が続くと賃貸経営がひっ迫する可能性もあるでしょう。その他には、金利上昇による総返済額の増加や、不動産市場での流動性が低いことなどもデメリットに挙げられます。

賃貸併用住宅の間取りを考える際のポイント

賃貸併用住宅を建てて賃貸経営を行うには、間取りをよく考えて実行することが必要です。ここでは、賃貸併用住宅の間取りを考える際のポイントについて解説をします。

ポイント1:ニーズのリサーチとターゲット層を検討する

賃貸部分の間取りは入居者を想定してから考えるのがポイントです。たとえば、オフィス街に近いエリアならば単身の会社員を、大学が近いエリアならば学生をターゲット層にするのが良いでしょう。こういったターゲット層ならば一人暮らしの需要が高いと考えられるので、1Rや1Kなどの間取りで十分です。単身者の場合、インターホンや宅配ボックスがあると喜ばれます。

住宅街にある場合はファミリー用の賃貸物件に向くため、3LDKなど広めの間取りだとニーズが高いです。家族が多いので、バスルームとトイレは別にし、収納を多くすると選ばれやすくなるでしょう。

ポイント2:将来を見据えた設計にする

将来的に賃貸部分を二世帯住宅にして使ったり、子供部屋を増設したりする可能性がある場合、建物を建築する前に間取りを変更しやすいように設計しておくこともポイントとなります。たとえば、賃貸部分の3部屋の壁を取り壊して1部屋にし、二世帯住宅にリフォームできるように設計するなどです。いったんそのように設計し、どちらかの世帯が必要としなくなった場合には、ふたたび賃貸物件として貸し出すといった使い方もできます。

なお、将来的に建物を売却する予定ならば、すべての部分が賃貸住宅として稼働できるような間取りで設計しておくと、売れる可能性が高まります。

ポイント3:賃貸併用住宅に強いハウスメーカーを選ぶ

賃貸併用住宅は一般的な住宅とは仕様が異なるため、賃貸併用住宅に強いハウスメーカーを選ぶのをおすすめします。特に大手ハウスメーカーは実績が豊富なので、高品質で満足できる賃貸併用住宅を実現できる可能性があります。

専門的な知識を備えた職員が、将来的な用途変更を踏まえたプランの提案や、相続税対策などのアドバイスをしてくれるなど、さまざまなサポートを受けられることもあります。

賃貸併用住宅は将来的な使い方も視野に入れて建築しよう

賃貸併用住宅は、自宅に住みながら家賃収入を得られるという不動産投資の形です。地価の高い都市圏に土地を所有している人にとっては、賃貸事業を行うことによって相続税対策も行えます。

ただし、自宅でありながら収益物件でもあるため、一般的な不動産投資と同じようなリスクも併せ持つのが特徴です。賃貸併用住宅を建てるときは、将来的な使い方も視野に入れてから実行するようにしましょう。

PREV 住宅ローンと不動産投資ローン|違いや併用について解説!
NEXT インボイス制度が大家に与える影響、対策をやさしく解説

関連記事