2023.02.03
トラブル対応

シロアリ駆除の方法と費用相場を解説!【賃貸オーナー向け】

賃貸物件にシロアリが発生した場合、その責任の所在は誰にあるのかが問題になります。この記事では、シロアリが発生した場合の責任負担、シロアリの駆除方法、費用相場などについて詳しく解説します。賃貸物件を所有するオーナーはぜひ参考にしてみてください。

【著者】矢口 美加子

 

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賃貸のシロアリ駆除は「オーナー負担」が原則

賃貸でのシロアリ駆除は、基本的にオーナーの負担となります。オーナーは、入居者が部屋を住居として使用収益できるようにする義務があるため、日頃から建物管理に注意しなければなりません。したがって、シロアリ被害で住環境が脅かされている場合はオーナーに責任があると考えられています。

シロアリは木材やコンクリートなどを好んで食べるのが特徴です。部屋の中をはじめ、建物の柱や基礎部分に穴を掘るため、地震などが発生すると倒壊する危険があります。入居者の安全を守るためにもシロアリの予防施工をしておくことをおすすめします。

借主がシロアリ駆除の責任を負うケース

基本的にシロアリ駆除はオーナー負担となりますが、シロアリ発生を誘発する環境を作っていた場合は借主の責任となることもあります。

たとえば、シロアリが好むダンボールや発泡スチロールを建物内に溜めていると、シロアリが発生する確率が高まります。したがって、掃除や片付けを怠ってシロアリが発生した場合は、借主に責任があるといえます。また、シロアリ被害は湿気が多く風通しの少ない家に出ることが比較的多いため、入居者の管理状況が悪いときも責任を負う可能性があります。

いずれのケースでも、入居前にはシロアリがおらず、入居後にシロアリが発生したことが分かる場合、借主が費用を負担するという見方が一般的となっています。

シロアリの駆除方法と費用相場

シロアリが発生したら、一刻も早く駆除することが必要です。シロアリを駆除する主な方法は「ベイト工法」と「バリア工法」の2種類が挙げられます。本章ではそれぞれの工法のメリット・デメリット、駆除にかかる時間、費用相場について解説します。

ベイト工法

ベイト工法とは、シロアリが好んで食べるベイト剤を、ステーションといわれる容器に入れて地面に埋めこんで駆除する工法です。ベイト剤は、いわゆる毒エサと同じですので、巣に持ち帰らせることでシロアリを駆除します。

完全に駆除するには2~3カ月程度かかりますが、シロアリの巣を丸ごと駆除したいという人に向いている工法です。

メリット・デメリット

ベイト工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・人体への影響が少ないので安全性が高い
・小さな子供やペットにはほぼ無害
・建物に穴を開けない
・ニオイがしない
・巣を丸ごと駆除できる
・床下に入らなくても駆除が可能
・バリア工法より費用が高い
・効果が出るのに時間がかかる
・仕掛けを定期的に管理することが必要

 
ベイト工法は薬剤を散布しないため、小さな子供やペットのいる家でも安心して利用できます。ベイト工法で使用される薬剤は昆虫の脱皮を阻害する働きがあるため、脱皮ができなくなったシロアリが成長できなくなり死んでしまう、という仕組みです。そのため、人間やペットに対して害を及ぼすことはないと考えられています。

また、壁に穴を開けないため、建物の外観を損なわないのもメリットです。床下へ薬剤散布ができなくても、外周部に容器を埋め込むので、床下の配線が多いなど特殊な建物でも対応できます。シロアリがベイト剤を巣に持ち帰るため、シロアリを巣ごと駆除することも可能です。

いっぽう、後述のバリア工法に比べてやや高額である点はデメリットです。ベイト剤の価格がそもそも高いうえ、多くの容器を設置するため費用が高価になります。そのうえ、効果が出るのにも時間がかかり、即効性は期待できません。埋め込んだ容器は定期的に管理しなくてはならず、手間がかかるという点もあります。

駆除にかかる時間・費用相場

ベイト工法の駆除にかかる作業時間は、家の広さにもよるものの、おおよそ2~3時間程度です。そのほか、大体2~4週間おきに1回のペースで定期点検を行う必要があります。費用相場は1坪あたり6,500~10,000円程度です。30坪の場合、20~28万円ほどを想定しておく必要があります。

バリア工法

バリア工法とは、シロアリが侵入する床下に薬剤を散布し、シロアリの侵入や繁殖を防ぐための工法です。シロアリが発生した場合は、被害を受けた場所で直接処理を行い駆除します。

メリット・デメリット

バリア工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・効き目に即効性がある
・再発予防の効果が高い
・費用が安い
・薬剤を使用するため安全性が心配
・化学物質のアレルギーがある人はリスクが高い
・床下に向けて穴を開けなければいけない場合がある

 
バリア工法は薬剤を散布するため、効き目に即効性があるのがメリットです。そのうえ、再発予防の効果が高く、最低5年間は再発生を抑えられると考えられています。ベイト工法に比べて費用が安いのもメリットのひとつです。

いっぽう、薬剤を散布するため、安全性に心配がある点はデメリットといえます。小さな子供やペットには有害な可能性があり、化学物質のアレルギーがある人にはリスクが高い可能性があります。また、床下に向けて穴を開けて薬剤を注入することもあり、建物が損傷することも考えられます。

駆除にかかる時間・費用相場

バリア工法の駆除にかかる時間は、こちらも家の広さによりますが、3~6時間程度が一般的です。戸建ての場合は半日もあれば終了します。費用相場は1坪あたり6,300~8,300円程度です。30坪の場合、19~25万円程度をみておく必要があります。

シロアリ駆除までの流れ

シロアリが見つかったら、生息場所などを調査しておき、シロアリ駆除の手配を行います。もしも既に死んでいるシロアリを見つけたら、業者が来る前に保存しておきましょう。また、家の図面を用意しておくと、駆除をする際に役立つ可能性があります。

ベイト工法の流れ

ベイト工法で施工する場合、当日の流れは以下のようになります。

➀シロアリの生息場所を確認
②ベイト剤の設置
③片付け、掃除

ベイト工法でシロアリ駆除をする場合、まずはシロアリで被害に遭っている場所を特定するために調査を行います。キッチンやお風呂場などの水回りはシロアリが好む環境であるため、被害を受けている可能性が高くなります。

被害状況が分かったら、薬剤を設置していきます。被害箇所近くの柱や壁にベイト剤が入った容器を設置し、家の周囲にも薬剤を入れたステーションを3メートル間隔で埋め込んでいきます。最後は工具などを片付けたら終了です。

バリア工法の流れ

バリア工法で施工する場合、当日の流れは以下のようになります。

➀シロアリの被害状況を確認
②床下侵入口の確保
③木材や土壌に薬剤を散布
④片付け、掃除

バリア工法も、まずは被害状況を確認するために床下や屋内を確認していきます。その後、床下進入口の確保を行います。床下点検口や畳をめくって入口を作って進入し、被害箇所の周辺の木部にドリルで穴をあけて薬剤を入れ、木栓で塞ぎます。被害がみられない木部には動力噴霧器で薬剤を散布し、基礎や土壌にも薬剤を散布します。

玄関など、床下からの散布ができない場所については、タイルの繋ぎ目にドリルで穴をあけて薬剤を注入します。また、玄関の壁面なども床下からの散布ができないため、壁面に穴をあけて薬剤を注入し、木栓で塞ぎます。最後は工具などを片付けて点検口を元に戻し、掃除をしたら終了です。

賃貸物件にシロアリを発生させないためには

シロアリが発生する原因は、シロアリのエサとなる木材や紙類が豊富にあることです。また、シロアリが好むのは湿気や木材が多い場所のため、通気性の良い環境を作るようにします。

具体的には、入居者に対して以下のポイントに気をつけながら生活することを注意喚起します。

➀家の中の風通しをよくする
②庭に廃材を置かない
③通気口のまわりにものを置かない

「なるべく換気をする」「居室内の壁や天井についている通気口の周辺を塞がない」など、入居する際にはきちんとお願いしておきましょう。管理会社には庭に廃材などが放置されていないか確認してもらいます。

◆シロアリ被害に遭う可能性はあるものの、賃貸併用住宅や戸建て投資にはメリットがあります。これらの不動産投資に興味がある方は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
賃貸併用住宅とは?メリット・デメリットと間取りについて
戸建て投資の特徴とは?物件の選び方と売却時の注意点まとめ

シロアリ駆除は早めに!被害予防のための管理も大切

シロアリが発生すると、建物の耐震性や耐久性が低下してしまうため、地震などで倒壊した場合は入居者の命にも関わります。物件の資産価値を大きく損なう可能性があるので、できるだけシロアリが発生しない環境を構築することが重要です。もしもシロアリが発生したら一刻も早く駆除を行わなければなりません。日頃から被害を予防するための管理もしておきましょう。

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