2023.02.05
不動産トピックス

宅配ボックス設置の費用相場|使い方と選び方、トラブル例も

感染症の影響により自宅にいる時間が長くなったことで、インターネットショッピングを利用する人が増えています。そのため、今後はますます賃貸物件においても宅配ボックスの設置に対するニーズが高まることが予想されます。この記事では、マンションなどのオーナーに向けて、宅配ボックスを設置する費用と種類、メリット・デメリットについて解説します。

【著者】矢口 美加子

 

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宅配ボックスを設置するメリット・デメリット

ここでは、賃貸物件のオーナー側からみた宅配ボックスを設置するメリット、デメリットについて解説します。
 

宅配ボックス設置のメリット

オーナーが所有する物件に宅配ボックスを設置すると、以下のようなメリットが期待できます。

・物件の付加価値が高まる
・家賃の値上げを交渉しやすい
・入居者の利便性を高められる
・入居率が高まる可能性
・ライバル物件との差別化が図れる
・空室対策に効果的

 

宅配ボックスが設置されていると、単身者や共働き夫婦といった、日中は家にいない入居者でも時間を気にすることなく荷物を受け取れるようになります。そのような利便性が高まることで、ライバル物件との差別化につながる点も挙げられます。

そのうえ、インターネットでショッピングすることが一般的になった近年において、宅配ボックスは無くてはならない設備だといえますので、物件の付加価値が高まる点もメリットです。

また、家賃の値上げを交渉しやすくなるという点もあります。入居者の利便性が向上して満足度が高まると、入居率アップも期待できるようになり、なかなか入居者が決まらない物件の空室対策としても有効的です。

宅配ボックス設置のデメリット

宅配ボックスの設置にはメリットもたくさんありますが、一方でオーナーにとっては以下のようなデメリットも考えられます。

・設置費用が高い
・ランニングコストがかかる
・設置スペースが必要
・管理が必要

 

設置費用が高い点はデメリットのひとつです。宅配ボックスの種類により違いがありますが、本体費用だけでもダイヤル式だと40~60万円、電子式だと80~100万円程度が見込まれます。そのうえ、設置した後も修繕費や管理費といったランニングコストがかかります。電子式の場合は電気代も含まれるので、設置後のコストも考慮してから設置する必要があります。

そのうえ、宅配ボックスは小さいものではないため、扉を開くスペースを含めて奥行1メートル程度、横幅1.5~2メートル程度の設置場所を確保する必要があります。そのため、エントランスのスペースが狭くなることを想定しておかなければなりません。

それに加え、故障した際には業者を手配して修理する必要があったり、宅配ボックスにいつまでも荷物が入っていないか確認したりするなど、日常的に管理をすることも求められます。

宅配ボックスの種類別|使い方と特徴

宅配ボックスには、電源を必要とする電子式(デジタル式)と、電気を使わないダイヤル式の2種類があります。本章ではそれぞれの特徴について解説します。

電子式(デジタル式)

電子式(デジタル式)は、コンピューターが制御するタイプの宅配ボックスです。近年の新築マンションでは電子式が主流になっています。

電子式の宅配ボックスは、磁気カード・暗証番号・ノンタッチキーなどで解錠します。ダイヤル式の場合、暗証番号が知られてしまうと誰でも荷物を取ることができてしまう心配がありますが、電子式はそのような心配がなくセキュリティ性が高いのが特長です。

電子式は主に「自主管理方式」と「オンライン管理方式」の2種類です。自主管理方式はマンションの所有者側で管理し、オンライン管理方式は宅配ボックスの管理会社がオンライン上で荷物を管理します。それぞれのメリット・デメリットは以下をご覧ください。

  メリット デメリット
自主管理方式 ・オンライン管理方式より導入費用が安い
・外注でないためランニングコストを抑えられる
・(共通)セキュリティ性が高い
・マンション管理組合などで荷物管理をしなくてはならない
・(共通)電気代がかかる
・(共通)配線工事が必要
オンライン管理方式 ・管理の手間を省ける
・遠隔操作で解錠ができる
・荷物の受け取り状況を管理してくれる
・トラブル発生時には迅速に対応してもらえる
・(共通)セキュリティ性が高い
・導入時のコストが高い
・保守管理料が別途必要
・(共通)電気代がかかる
・(共通)配線工事が必要

 
自主管理方式は所有者側で宅配管理を行うため、オンライン管理方式よりコストがかからないのが特徴です。ただし、自ら管理をする必要がある分、チェックを怠ると荷物が長期間入ったままになるといった点には気をつける必要があります。

オンライン管理方式は、宅配ボックス会社がインターネット回線を利用して管理をするため、手間がかからないのは大きなメリットです。遠隔操作での解錠が可能であるうえ、トラブルが発生してもすぐに対応してもらえます。ただし導入時の費用が高く、保守管理費用も別途必要なため、自主管理方式よりもコストがかかるのはデメリットといえます。

ダイヤル式

ダイヤル式は、荷物を入れるたびに数字の暗証番号を設定するタイプの宅配ボックスです。配達員が暗証番号を設定し、それを記載した配達通知書を入居者の郵便ポストに投函します。

ダイヤル式のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・簡単に操作できる
・導入費用が割安で設置しやすい
・電気代がかからない
・セキュリティ性が低い
・管理に手間がかかる
・暗証番号が違うなどのトラブルが起こりやすい

 
電気を使用しないため、設置工事が簡単で、導入コストが割安なのはメリットです。ただしその分、マンションの所有者側が管理する必要があり、トラブルなどが発生したらその都度対応しなければなりません。暗証番号が違うなどのトラブルは比較的発生しやすいです。

また、セキュリティ性が低いという点もあります。仕組み上、暗証番号が記載された配達通知書を見られるなどで、第三者が荷物を取ることができるため、盗難に遭う可能性があります。

宅配ボックスの選び方

宅配ボックスの選び方のポイントとしては、以下の項目が挙げられます。

・サイズ
・設置のしやすさ
・管理のしやすさ
・セキュリティ性のレベル

ボックス数やボックスのサイズなどは、オプションで変更できる場合があります。ここでは、宅配ボックスの選び方のポイントについて解説します。

世帯数に合うサイズ、設置スペース

宅配ボックスを設置する際は、世帯数に合うボックス数やサイズを選ぶことが重要です。設置できるスペースを確保してから導入する必要があります。

ボックスの数は世帯数に合わせて選ぶ必要があり、設置しても数が足りないようでは入居者が活用できません。ボックス数の目安は、電子式の場合だと世帯数の20~35%、ダイヤル式の場合だと45~50%が適切とされています。たとえば住戸数が25戸の場合、電子式なら5~8個、ダイヤル式なら11~13個程度が必要です。

ボックスサイズの目安は、Sサイズだと80サイズ、Lサイズだとゴルフバック程度のものが入る大きさです。日常的なインターネットショッピングの場合、Sサイズはもっとも利用する頻度が高くなります。一般的なマンションの宅配ボックスだと、サイズ構成の目安としてはSボックスが75%、Mボックスが20%、 Lボックスが5%といった割合です。

設置場所はエントランスが一般的ですが、設置する際は消防法に準拠し、避難経路の妨げにならないように通路の幅1.2メートルを確保しなければなりません。

設置のしやすさ

マンション用の大型の宅配ボックスを導入する場合、基本的には設置工事が行われます。ダイヤル式だと配線工事は無いですが、電子式は電気の配線工事を行うため、電源を確保する必要があります。

工事期間は、新規に設置する場合だと1日ですが、入れ替えの場合は取り外しも含めて3日程度をみておく必要があります。設置する際は、床にアンカーボルトで固定したり、転倒防止版を使用して地震が発生しても倒れないようにしたりして行うことが一般的です。

管理のしやすさ

一度設置すると長く使用することになるため、管理のしやすさもポイントといえます。管理の手間がかからないのは、電子式のオンライン方式です。24時間365日体制で遠隔サポートしているためランニングコストはかかりますが、管理の手間は少ないといえるでしょう。

セキュリティ

セキュリティはボックスのタイプによりレベルが違います。先述の通りダイヤル式は配達員が暗証番号を設定し、暗証番号を記載したメモを入居者のポストに入れます。ただし、暗証番号が何らかの形で第三者に知られてしまえば、荷物を盗難することができるため、トラブルが発生することも少なくありません。

電子式の自主管理方式であれば、入居者が暗証番号や非接触キーなどの操作キーで解錠するためセキュリティ性は高いといえます。ただし、トラブルが発生した場合はオーナー側で対応する必要があります。

その点、電子式のオンライン方式は宅配ボックスをインターネット管理しているため、遠隔操作が可能であり、安全面や管理面に優れています。ただし、外注のため保守管理費用が別途発生します。

宅配ボックスの設置費用

宅配ボックスの設置にあたっては、宅配ボックス本体の費用だけでなく、設置工事の費用も必要です。

宅配ボックスの種類 設置費用 ランニングコスト
ダイヤル式 40~60万円+10万円 故障した場合のみ発生
電子式 80~100万円+10万円~(電気工事費用は別途発生) 月々5,000円~15,000円

 
ダイヤル式の場合、宅配ボックス本体価格として40~60万円がかかります(10ボックス程度の場合)。それに加え、設置工事の費用として約10万円がかかります。壁や床に固定する工事となり、電気配線は行われません。先述の通り、エントランスなどに設置するのが一般的ですが、ある程度の広さを確保する必要があります。ちなみに、ダイヤル式の簡易タイプならば自身で設置することもできます。

続いて電子式の場合、宅配ボックス本体価格として80~100万円がかかります(10ボックス程度の場合)。それに加え、設置工事の費用として約10万円~、電気工事費用も発生します。電子式も壁や床に固定する工事ですが、こちらは電気配線が必要となりますので、専門業者へ取り付けを依頼します。電子式はダイヤル式よりも広いスペースが必要で、電源の確保も行う必要があります。

宅配ボックス本体はメーカーや製品のグレードにより価格に幅があります。参考までに、代表的な宅配ボックスメーカーの本体価格として、A社のダイヤル式(2列11ボックス)が88万円、B社のダイヤル式(2列6ボックス)が43万円、C社の電子式(2列6ボックス)が100万円、といった具合です。ダイヤル式より電子式のほうが本体価格は高くなります。

なお、レンタルできるプランを提供しているメーカーもありますので、費用面がネックになっている場合はレンタルすることを検討してみると良いでしょう。

賃貸オーナー向け|宅配ボックスのトラブル例

宅配ボックスは便利な設備ですが、利用にあたり本章で紹介するようなトラブルが発生することがあります。実際にどのようなトラブルが起こるのか確認し、未然防止を図りましょう。

入居者がカードキーを紛失する

カードキーで解錠するタイプの宅配ボックスのカードを入居者が紛失してしまい、開けられなくなるというトラブルです。紛失する以外にも、磁気不良でカードキーが使えなくなるトラブルが発生することもあり、この場合は新しいカードキーを作り直す必要があります。いずれのケースも、急いでいる場合は管理者が解錠します。

宅配ボックスのエラーで開けられない

入居者や配達業者の操作ミスにより開けられないというトラブルもよく発生します。入居者側のミスでありがちなのは、暗証番号の入力ミスです。3回以上間違えると自動的にロックが掛かり、扉が開かなくなるのが一般的です。そのほか、宅配業者がサイズオーバーした荷物を入れてしまった場合も同様です。

このようなケースでは、宅配ボックスの電源を入れ直してリセットすると解錠できる場合があります。

暗証番号がわからない

宅配ボックスの暗証番号が部屋ごとに設定されている場合、入居者がその番号を忘れてしまうと開けることができません。また、不動産会社が入居に関して説明をする際に、間違った番号を案内してしまうケースも稀に発生します。これらのケースの場合、管理会社に問い合わせると、正しい暗証番号を教えてもらえます。

操作方法を間違える

利用者が操作方法を間違えるといったトラブルも発生します。荷物を取り出す際に扉が閉まってしまい、ロックされてしまう場合があります。この場合、管理会社に依頼して強制開錠をしてもらいます。

宅配業者が誤って配達

宅配業者の配達ミスも発生することがあります。業者が違うマンションの荷物を誤って入れてしまったり、部屋番号の入力設定を間違えたりするなどです。この場合も管理会社へ依頼して強制解錠をする、あるいは間違って配達した先の入居者に連絡して解錠してもらうといった対処をします。

宅配ボックス設置の際は費用や管理内容を確認しよう

宅配ボックスを設置すると、入居者の利便性が高まるため、物件に付加価値をプラスできます。入居者の満足度が上がると入居率が改善する可能性があるため、安定した賃貸経営につながるかもしれません。宅配ボックスを導入する場合は、合計でかかる費用を確認することはもちろん、どこまでの管理が必要なのか確認することも忘れないようにしましょう。

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