2021.02.10
不動産投資

不動産投資で節税効果を得るポイントは「損益通算」にあり!

サラリーマンにとって不動産投資は節税メリットが大きいと言われますが、その理由の一つが「損益通算」です。損益通算とはどのような仕組みで、メリットを受けるためにはどんなことに注意すればいいのでしょうか。

【目次】

「富士山上」なら、赤字と黒字を相殺できる

所得は、給与所得や事業所得、不動産所得、雑所得など10種類に分かれますが、ある所得が赤字(損失)で別の所得が黒字(利益)の場合、それらを相殺できる仕組みを「損益通算」といいます。

損益通算には一定のルールがあります。損益通算できる所得は、「富士山上」と覚えます。これはファイナンシャルプランナーの試験勉強でよく使われる覚え方で、【ふ】不動産所得、【じ】事業所得、【さん】山林所得、【じょう】譲渡所得のことです。

これらの4つの所得の中に赤字の所得がある時には、「富士山上」の他の所得(不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得)の黒字とぶつけて、黒字を減らすこと(相殺)で節税をすることが可能となります。

つまり、この4つ以外の所得である配当所得(株式などの配当金)、一時所得(生命保険の一時金、賞金など)、雑所得(公的年金所得、原稿料や講演料など)などで赤字が出ても損益通算はできません。

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損益通算による節税効果の例

損益通算のメリットを考えてみます。たとえば、給与所得のあるサラリーマンが不動産投資をして、初年度に購入費用などで赤字を計上したとしましょう。その場合、給与所得の黒字から不動産所得の赤字を差し引くことで給与所得が圧縮でき、節税になります。また、事業所得の損失と不動産所得の利益を相殺することもできます。

具体的な節税効果を見てみましょう。たとえば、Aさんのある年の給与所得と納税額は以下のような状況でした。

給与所得: 800万円
各種所得控除:▲350万円
課税所得: 450万円
                                       
所得税:  約47万円
住民税:  約45万円

課税所得450万円に対する所得税率は約20%(控除額42万7,500円)なので、所得税は約47万円です。また、住民税率は約10%なので約45万円です。

同じ年にAさんが不動産賃貸業を始めて、赤字が300万円だった場合は、給与所得と損益通算することで、収める所得税額は以下のようになります。

給与所得: 800万円
不動産所得: ▲300万円
各種所得控除:▲350万円
課税所得: 150万円
                                       
所得税: 約7万5,000円
住民税:  約15万円

不動産所得の赤字によって課税所得が圧縮されて150万円となり、税率も5%に下がるので、所得税額は約7万5,000円、住民税は約15万円になります。
損益通算をすると、大幅に節税できることがわかります。

青色申告なら赤字の繰り越しもできる

赤字額が大きく、損益通算しても赤字が残ってしまった場合、青色申告であれば、赤字を翌年以後3年にわたって繰り越すことができます。たとえば、2019年の確定申告で200万円の赤字が発生し、2020年には300万円の黒字が出た場合、2020年の課税所得は300万円-200万円=100万円とります。

これは青色申告の大きなメリットの一つなので、不動産所得がある人はできるだけ青色申告を行うようにしましょう。

不動産オーナーが損益通算する時の注意点

気をつけなければならないのは、「富士山上」に含まれる不動産所得であっても、損益通算できない場合があることです。たとえば、「土地の取得のための負債利子」がそれに当たります。不動産を買うために銀行ローンを利用するケースが多いですが、毎月のローン返済額のうち利子部分は経費として計上できます。

ただし「土地」の分の利子は、損益通算ができません。ローンの支払いがある場合は、その利子を土地の分と建物の分に分け、土地の分を損益通算の対象から除外する必要があるので、確定申告の際は注意が必要です。

また、損益通算の対象となる所得には譲渡所得も含まれますが、土地や建物の売却によって発生した譲渡損失(赤字)については、損益通算ができません。ただし自宅の売却であれば、一定の要件のもとで損益通算に含めることができます(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)。

【マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】
令和元年12月31日までの期間にマイホームを売却し、新たにマイホームを購入した際に損失が出た場合は、事業所得や給与所得と損益通算ができます。
また、その損失が損益通算しても引ききれなかった時は翌年以降3年間繰り越して控除することができます。
※適用条件には所得や売却する土地の面積など、細かい条件があります。

不動産賃貸業で得た収入は不動産所得であり、それが赤字ならば他の所得の黒字と相殺することができます。不動産賃貸業を営む人は「経営者」ですから、メリットの多い損益通算という仕組みを正しく理解し、不動産経営に生かすようにしましょう。

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