2024.03.07
不動産トピックス

省エネ住宅とは?基準とメリットデメリット、種類などを解説

地球温暖化の進行から、家庭における省エネルギー化が促進されています。住宅そのものを省エネ住宅にすると大きな効果を得られることから、賃貸物件においても断熱・日射遮蔽・気密の性能が高い住宅が求められています。そこで、省エネ住宅の基準やメリット・デメリット、種類などを詳しく解説します。賃貸物件のオーナーさんはぜひ参考にしてみてください。

【著者】矢口 美加子

 

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省エネ住宅とは?

省エネ住宅とは、高断熱・高気密に造られ、エネルギー消費量を抑える設備を備えた住宅のことです。屋根・外壁・窓などの断熱性を高めることで、家の中を快適な温度に保ちます。また、省エネ性の高いエアコン・給湯器・LED照明などを設置することにより、エネルギーを効率よく使用することも可能です。

省エネ住宅の基準は段階的に変わり、年々レベルが上がっていきます。2025年には現在の省エネ住宅が新築住宅の基準になり、2030年にはZEH水準の省エネ住宅が新築住宅の基準となる予定です。

省エネ住宅が義務化された背景

日本では、2050年に向けたカーボンニュートラル化、2030年度までに温室効果ガス46%の排出削減(2013年度比)の実現に向けて、2021年10月には地球温暖化対策等の削減目標を強化することが決定されました。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする取り組みのことです。達成するためには温室効果ガスの排出量を削減することに加え、吸収作用の保全と強化が必要となります。それに伴い、日本でのエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における取り組みが急務となりました。

建築物省エネ法を改正(令和4年6月公布)し、2025年4月からすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる予定です。建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が実施されます。

現行のルールでは、中・大規模程度で住宅以外の建物に適合させる義務がありました。しかし、エネルギー消費の多くを占める中規模建築物と小規模建築物に対しても適合化を義務づけることで、これまで以上に建物の省エネ化を促進させることが義務化の背景です。

住宅の省エネ基準について

省エネ基準とは、建物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建物の構造、および設備に関する基準です。「外皮基準」と「一次エネルギー消費量基準」から成ります。ここでは、省エネ化のカギを握る住宅の省エネ基準について解説します。

外皮基準

外皮基準とは、住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準です。外皮の断熱性能を向上させると、室温が外気温からの影響を受けにくくなるため、建物の省エネ化を進める上で重要な要素となります。

外皮基準を適合化させる場合には、外皮の表面積あたりの熱の損失量(外皮平均熱貫流率等)を基準値以下にすることを目指します。住宅の外皮性能は、UA(ユーエー)値と、ηAC(イータエーシー)値により構成されており、どちらの値も地域区分別に規定されている基準値以下となることが必要です。

省エネにおける地域区分は、日本を8つの地域に分けた上で行われ、それをもとに基準値が規定されています。数値が小さいほど寒い傾向があり、北海道では1~3、東京は4~7、沖縄はすべての市町村で8となっています。地域区分別にみた外皮平均熱貫流率(UA値)の基準値は下表をご覧ください。
 

出典:経済産業省 – 【参考】住宅における外皮性能(P1)

UA値は、値が小さいほど「熱が出入りしにくく断熱性能が高い」とみなされます。

また、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)は以下の通りです。
 

出典:経済産業省 – 【参考】住宅における外皮性能(P1)

ηAC値も、値が小さいほど「日射が入りにくく遮蔽性能が高い」とされています。

一次エネルギー消費量基準

一次エネルギー消費量基準とは、建物のエネルギー消費性能を評価するときの指標のひとつです。建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量を指し、この数値が小さいほど「省エネの程度は大きい」と判断されます。

一次エネルギー消費量基準は、標準的な仕様を採用した場合のエネルギー消費量と、省エネ手法(外皮の断熱化を高める省エネ建材や太陽熱温水器の設置など)を考慮したエネルギー消費量によって判定されます。一次エネルギー消費量基準の水準となる「一次エネルギー消費性能(BEI)」は、以下の計算式で算出されます。

一次エネルギー消費性能(BEI)=設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量

 

省エネ基準は「BEI ≦ 1.0」で判定されます。

省エネ住宅を建てるメリット・デメリット

ここでは、不動産投資オーナーの視点からみた省エネ住宅のメリットとデメリットについて解説します。

省エネ住宅のメリット

省エネ住宅を建てることによって、不動産オーナーはどのようなメリットを受けることができるのでしょうか。主なものとして以下が考えられます。

  • 収益力がアップする
  • 入居率が上がる可能性がある
  • 資産価値が維持されやすい
  • 売電収入が見込める
  • 融資が通りやすい
  • 補助金を利用できる
  •  
    省エネ住宅は断熱性・気密性が高いため、入居者は快適に部屋で暮らすことができる上、光熱費も削減できるというメリットがあります。そのため、オーナーは物件を「省エネ住宅」とアピールすれば、家賃を高めに設定できる可能性も期待できます。

    その上、周辺の類似物件との差別化を図れることから、入居率の向上を目指せる可能性もあります。将来的にも、省エネ住宅でない物件はこれから入居者が入りにくい可能性があるといえるでしょう。

    また、省エネ住宅にすることにより、物件の資産価値を維持しやすいのもメリットです。これから造られる建物は省エネ基準への適合が義務になるため、性能の高い住宅が次から次へと提供されます。そのため、省エネ基準に適合していない物件は資産価値が下がるリスクを抱えているといえます。

    加えて、売電収入を見込める点もあります。賃貸物件の共用部分で発電した電気を使用し、電力が余ったら電力会社へ売却できます。なお、太陽光発電設備による余剰電力の売却収入は、賃貸経営の収入金額として計上しましょう。

    省エネ住宅にすると資産価値を維持しやすいことから、融資が通りやすいのもメリットです。省エネ住宅の改修工事においては、賃貸物件であっても補助金制度が設けられているため、実質的な工事費用を軽減することが可能です。

    ◆賃貸経営に太陽光発電を導入する場合については、こちらの記事を参考にしてみてください。
    太陽光発電で賃貸経営を安定!設置のメリット・デメリットは?

    省エネ住宅のデメリット

    前章のとおり、省エネ住宅を建てることで不動産オーナーが受けられるメリットは多々あるものの、その一方でデメリットも知っておかなければなりません。代表的なものとしては、➀費用が高いこと、②間取りや屋根のデザインが制限されること、の2点があります。

    省エネ住宅は、省エネ設備(高効率設備)や太陽光発電システムなどを設置するため、一般的な住宅建築よりも初期費用が高くなる傾向にあります。その上、間取りや屋根のデザインなどが制限される可能性もあります。省エネ住宅にする場合は、希望するデザインや間取りが実現可能なのか、施工会社とよく相談する必要があります。

    省エネ住宅の基準を満たす3つのポイント

    省エネルギー住宅を実現するためには、断熱性、気密性、日射遮蔽性の3つが重要になります。ここでは、それぞれのポイントの詳細について解説します。

    断熱性

    断熱性とは、壁・屋根・窓・床などを通して住宅の内側・外側の熱の移動を少なくする性能のことです。そうすることにより、夏は涼しく冬は暖かいという状態が実現します。同じ室温でも断熱性に優れた住宅のほうが涼しく・暖かく感じるため、より快適に過ごせます。光熱費を削減することも可能です。

    冬は外気よりも室内の温度が高くなるため、家の中をエアコンなどで温めると熱は室内から室外に移動し、夏はエアコンで冷房をつけると家の中の温度が外気よりも低くなるため、熱は室外から室内に移動する仕組みです。熱の移動をできるだけ減らし、エネルギーを効率よく利用して快適な温度の確保を目指します。

    住宅の断熱性能は、先述した外皮平均熱貫流率(UA)で示され、数値が小さいほど省エネ性が高いことを表します。

    気密性

    気密性とは、空気などの気体が漏れない性能のことで、住宅では隙間風が入らないことなどを指します。いくら断熱性を高めても、気密性が低い住宅では隙間から空気が出入りするため、熱が室内外に移動してしまいます。空気の移動による熱の移動を少なくするためには、隙間を減らすことが必要です。

    ただし、換気が十分でないと湿気がこもって結露が起こりやすいため、気密性能だけを強化すると室内環境が悪化することが懸念されます。空気がこもらないように換気量を確保しながら、過剰な空気の移動を減らすことが重要となります。

    日射遮蔽性

    日射遮蔽性とは、太陽の熱が室内へ入り込むのを抑制する性能のことです。特に夏場だと、外部からの日射熱は室内の温度が上がる最も大きな要因とされています。冷房で使用するエネルギーの削減のため、日射を遮蔽して家の中の温度上昇を抑えることが重要です。

    住宅の日射遮蔽性能は、先述した平均日射熱取得率(ηAC値)で示され、数値が小さいほど省エネ性能が優れていることを表します。

    Low-E複層ガラス(日射遮蔽型)などを窓ガラスに採用すると、ガラスの日射遮蔽性能を高めてくれるため、効率よくエネルギーを使用できます。

    省エネ住宅の種類

    主な省エネ住宅の種類として、➀ZEH(ゼッチ)住宅、②LCCM住宅、③長期優良住宅、④認定低炭素住宅、⑤性能向上認定住宅、の5つがあります。それぞれの特徴について分かりやすく解説します。

    ZEH(ゼッチ)住宅

    ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、ZEH住宅は「エネルギー収支をゼロ以下にする家」を指します。太陽光発電などでつくるエネルギーを家庭で使用するエネルギーに充て、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にすることを表しています。

    経済産業省はZEHの普及活動を促進しており、2020年度はハウスメーカーが新築する注文戸建住宅の約56%がZEH住宅となっています。オーナーが得られるZEHのメリットとしては以下が挙げられます。

  • 月々の光熱費を安く抑えられ、売電収入を得られる
  • 夏は涼しく冬は暖かいので、入居者が快適な生活を送れる
  • 災害に強いため、入居者の安全を確保できる
  •  
    ZEHは、断熱性能や高効率設備を利用することからエネルギーを削減できるため、入居者は毎月の光熱費が安くなります。また1年を通して快適な室温で過ごせるため、他の類似物件との差別化につながります。電力会社に余った電気を売った場合は、収益を得られます。

    台風や地震などで停電が発生しても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気を使用できるため、災害時でも入居者が安心して生活を送ることができます。

    LCCM住宅

    LCCM(エルシーシーエム)住宅とは、ライフ・サイクル・カーボン・マイナスの略で、建設時・運用時・廃棄時にできるだけCO2の削減に取り組む住宅のことです。太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、建物を建設するときのCO2排出量だけでなく、使用している間もCO2の収支をマイナスにします。

    LCCMはZEHを上回る先進的な低炭素住宅とされ、建築時や使用中のみならず、建物を解体する時までCO2排出をマイナスにするのが特徴です。環境に優しい住宅として資産価値の向上が期待できます。

    長期優良住宅

    長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅のことです。所管行政庁に申請すると認定を受けられます。主に以下の措置がとられた住宅を指します。

  • 長期に使用するための構造及び設備を有している
  • 居住環境等への配慮を行っている
  • 一定面積以上の住戸面積を有している
  • 維持保全の期間、方法を定めている
  • 自然災害への配慮を行っている
  •  
    出典:国土交通省 – 新築版「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」長期優良住宅認定制度の概要について(P2)

    マンションなどの共同住宅においては、長期優良住宅の認定を受けるためには以下に挙げるような取り組みが必要です。

  • 居住者のライフスタイルの変化等に応じて、間取りの変更が可能であるといった「可変性」はあるか
  • 将来のバリアフリー改修に対応できるよう、共用廊下等に必要なスペースが確保されているといった、「バリアフリー性」はあるか
  • 良好な景観の形成や、地域における居住環境の維持および向上に配慮された「居住環境」であるか
  • 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有する「住戸面積」であるか
  • 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されているか(維持保全計画)
  • 自然災害による被害の発生防止、または軽減に配慮されているか
  •  
    共同住宅の場合、一般住宅とは長期優良住宅(新築)の認定基準に違いがあるため、建築時に確認することが必要です。長期優良住宅には、税の特例措置を受けられるなどのメリットがあります。

    認定低炭素住宅

    認定低炭素住宅とは、CO2の排出を抑制する建物のことで、所管行政庁(都道府県、市または区)が認定を行います。一般的な住宅と比較するとCO2の排出を抑えられるため、環境に優しい住宅です。

    市街化区域等内における建物で、以下の工事が対象となります。

  • 建築物の低炭素化に資する建築物の新築
  • 低炭素化のための建築物の増築、改築、修繕もしくは模様替え
  • 低炭素化のための建築物への空気調和設備、その他の政令で定める建築設備の設置
  • 建築物に設けた空気調和設備等の改修
  •  
    認定低炭素住宅の認定基準としては、 外皮性能(誘導基準)や一次エネルギー消費性能(誘導基準)などで、ZEH・ZEB水準の省エネ性能を持つことが要件です。住宅においては、省エネ基準から20%以上の削減が必要です。認定を受けた新築住宅は、 税制・融資の優遇措置の対象となります。

    性能向上計画認定住宅

    性能向上計画認定住宅とは、建築物省エネ法第35条に規定される基準を満たす住宅のことで、建物が所在する所管行政庁によって認定されます。省エネ性能の向上が認められる建築物の新築または増築、改築・修繕・模様替え、建築物への空気調和設備等の設置・改修を対象とします。性能向上計画認定は住宅・非住宅のどちらでも受けられます。

    性能向上計画が認定されると、容積率特例(省エネ性能向上のための設備について、通常の建築物の床面積を超える部分を、10%を上限として不算入)などのメリットを受けられます。

    省エネ住宅含むすべての建物を対象とした「省エネ性能表示制度」について

    「省エネ性能表示制度」とは、販売会社や賃貸事業者などが建築物の省エネ性能を広告などに表示できる制度です。賃貸物件の場合、省エネ性能を示すことで、入居者が部屋を借りる際に省エネ性能の比較や把握をすることができます

    2024年4月以降、新築建築物の販売・賃貸の広告において事業者は省エネ性能の表示ラベルを表示することが必要になります。そのため、賃貸物件のオーナーにも同様に対応することが求められています。

    省エネ性能を表示するものとして、以下のような「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」が発行されます(自己評価、もしくは第三者評価のいずれかの方法による)。

    出典:国土交通省 – 建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度事業者向け概要資料

    対象となる建築物は2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築の分譲戸建て住宅・分譲マンション・賃貸用の住宅やオフィスビルなどで、これらの建築物が再販売・再賃貸される場合も対象です。なお、2024年3月以前に建築確認申請をした物件は任意となります。

    省エネ住宅に関する補助金

    ここでは、アパートやマンションなど、集合住宅におけるZEH住宅の補助制度を紹介します。

    ZEH支援事業

    ZEH住宅を建てるときに利用できる補助金として、以下4つを紹介します。

    事業名 対象となる建物 補助額 公募期間
    超高層ZEH-M実証事業 住宅部分が21階以上の集合住宅 経費の1/2以内、上限3億円/年、10億円/事業 例年5月~6月
    高層ZEH-M支援事業 住宅用途部分が6層以上20層以下の集合住宅 経費の1/3以内、上限3億円/年、8億円/事業、1戸50万円 例年5月~6月
    中層ZEH-M支援事業 住宅用途部分が4層以上5層以下の集合住宅 経費の1/3以内、上限3億円/年、8億円/事業、1戸50万円 2023年の公募期間は12月8日まで
    低層ZEH-M支援事業 住宅用途部分が3層以下の集合住宅 1戸40万円、上限3億円/年、6億円/事業 2023年の公募期間は12月8日まで

     
    上記の事業はいずれもZEHの定義を満たしていることが必須条件です。

    ※公募期間が終了しているものも含みます。最新情報は経済産業省資源エネルギー庁のホームページや、補助金執行団体の環境共創イニシアチブのホームページなどを確認するようにしてください。

    給湯省エネ事業

    省エネ効果の高い高効率給湯器を設置する際に支援される制度です。補助額と上限額は以下の通りです。

    設置する給湯器 補助額 補助上限(住戸あたり)
    家庭用燃料電池(エネファーム) 15万円/台 戸建住宅:いずれか2台まで
    共同住宅等:いずれか1台まで
    電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機
    (ハイブリッド給湯機)
    5万円/台
    ヒートポンプ給湯機(エコキュート)

     
    ※給湯省エネ事業においては、2023年11月30日をもって交付申請の予約の受付が終了しています。

    先進的窓リノベ事業

    先進的窓リノベ事業は、既存の住宅の窓を、省エネ効果の高い断熱窓へと改修する工事に対する補助金事業です。窓リノベ事業者と工事請負契約を締結し、窓のリフォーム工事をした場合が補助金の対象となります。対象となる工事は、断熱性の高いガラスへの交換や内窓の設置、外窓の交換などです。開口部ごとに実施した工事に応じた補助額の合計を申請できます。

    申請できる補助額は5万円以上からで、補助上限は1戸あたり200万円です。手続き期間は2023年3月31日からで、遅くとも2023年11月30日までとなっています(現在は交付申請の受付は終了しています)。

    省エネ住宅に関する減税等優遇制度

    本章では、省エネ住宅に関する減税等優遇制度について解説します。

    税金の軽減

    賃貸住宅を省エネ住宅にすることで、不動産取得税や登録免許税の減免などが適用されます。適用要件を満たす新築の賃貸住宅であれば、住宅用家屋の軽減特例を受けることが可能です。認定長期優良住宅の場合は1,300万円を固定資産税評価額から控除できます(2024年3月31日までの特例)。

    登録免許税は、所有権移転登記の税率が課税標準額の0.1%(マンション)から0.2%(戸建て、本則2.0%)に引き下げられ、課税標準額の0.1%(本則0.4%)となります。

    金利の引き下げ

    省エネ住宅では、金利の引き下げにおける支援もあります。子育て向けの世帯をターゲットにした賃貸住宅の建設を促進するために、子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資の制度改正が実施されました。

    長期優良住宅またはZEHの基準を満たすことで、当初15年間の金利が、借入金利から年2%引き下げられます。省エネ性能が高く、子育て世帯に必要な広さがあり、入居者が健康的に暮らせる賃貸住宅の供給を促進するのが目的です。

    省エネ住宅は賃貸物件でも税制面や経営面でメリットが多い

    賃貸物件を省エネ住宅の仕様にすると、オーナーは税制面での優遇や補助金などを受けられます。また、断熱性・気密性が高く快適な温度を保てるため、入居者の満足度を高めることにつながり、入居率の維持も期待できます。建物を省エネ住宅にして、オーナーと入居者が共に満足できる賃貸経営を目指しましょう。

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