共用灯とは、マンションなどの共用廊下やエントランスに設置されている照明のことです。集合住宅の場合は共用灯の数が多いため、節電・省エネ効果を求めるならば、LED照明にすることがおすすめです。この記事では、賃貸物件においての共用灯の基本的な内容をはじめ、LED照明の交換方法や費用の目安なども紹介します。
【著者】矢口 美加子
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目次
共用灯などの室外にある電球交換は、大家または管理会社が行うことが一般的です。廊下やロビーなどの共用部分は入居者全員が使用するスペースのため、所有者である大家が負担することになります。
共用部分で交換する電球や照明器具は、消耗品費として費用計上することができます。なお、共有部分にある電球の交換費用は、入居者が毎月支払っている管理費・共益費から支出されます。
入居者が借りている部屋の中の電球交換は、基本的に入居者の負担です。室内の電球のように入居者によって使用状況が変わる消耗品の場合、あらかじめ賃貸借契約書の特約に入居者負担であることを明記するケースは多いです。それに加え、ベランダのように室外でも入居者のみが使用する場所の電球交換は、契約書で入居者本人に電球を購入・交換してもらうということを取り決めているケースもよくあります。
なお、入居時に照明器具の電球が切れている場合、大家が負担するケースは比較的多いです。また、退去時に電球や蛍光灯が切れている場合も、入居者が交換や費用を負担せずに大家が負担することが一般的となっています。
天井に取り付ける照明器具の電源ソケットや支持器具を引掛シーリングといい、この引掛シーリングがすでに設置されている場合は、資格がない人でも照明器具を交換することができます。ただし、引掛シーリングを使わず、電源線を直接接続する照明器具を取り付けるには電気工事士の資格が必要です。
業者に依頼すると工賃として平均5,000円前後が発生し、別途出張料など追加費用が発生する場合もあります。費用はかかりますが、きちんと設置できていない場合には事故が発生する可能性もあるため、電気工事が必要となる照明器具の設置は電気工事業者へ依頼しましょう。電気配線を無資格者が行うことは非常に危険なだけでなく、法律に抵触するリスクがありますので、くれぐれも大家がDIYで気軽に工事することはやめましょう。
近年では電気代を抑える目的で蛍光灯からLEDに変える大家が増えていますが、蛍光灯をLED照明に交換するには工事が必要になる場合もあります。ここでは、工事が必要なケースと不要なケースについて解説します。
長細い形状の直管蛍光灯型を交換する場合は、バイパス工事が必要なため、電気工事会社に依頼しなければなりません。
バイパス工事とは、LEDに適した電気配線にするために必要な工事のことです。LED照明に交換した後、既存の蛍光灯照明に取り付けられている安定器に電気が流れないようにし、場合によっては安定器そのものを取り除きます。この工事を行うことによって、現在使用している照明器具のまま安全にLED化することができるようになります。
工事会社により違いがあるものの、LED1セット2本で工事する場合だと、1箇所あたり3,000~5,000円程度が費用相場です。LED製品はメーカーや性能により価格にばらつきがあるため、高い製品を選べば交換費用は大幅に跳ね上がります。ただし性能が高い製品はその分電球の寿命が長いので、長期的に見れば経済的だといえます。
LED交換で工事が不要なケースは、天井にすでに専用の配線器具がついている場合です。貸室内でよく見られる、丸い形をしたシーリングライトなどが該当します。角型や丸型の配線器具が天井に設置されているため、LED照明を差し込めばそのまま使用することが可能です。
中には、共用廊下の共用灯として、丸い形のLEDシーリングのタイプを使用しているケースがありますが、このようなシーリングタイプの共用灯ならば新たに工事をする必要はありません。
LEDは省エネ効果が高いため、電気代を大幅にカットできるのがメリットです。
一般財団法人・家電製品協会の資料(※)によると、LEDシーリングライトは蛍光灯シーリングライトに比べて約50%の省エネ効果があることが記載されています(年間点灯時間2,000時間、1日5~6時間点灯した場合)。それに加え、消費電力が少ないため電気代は安くなることも示されており、1日5~6時間点灯した場合だと年間で約2,110円のコストダウンが見込めることがまとめられています(2021年5月時点)。
LEDシーリングライトは寿命が40,000時間のため、一度LEDに交換すれば、しばらく交換する手間が省けます。40,000時間を年単位にすると約4.5年ですので、使用頻度によりますが、およそ4年程度は最低でも交換する必要がないといえるでしょう。
今までは自分で電球交換をしていたものの、年齢的にも頻繁に脚立を使って交換するのは大変という大家や、少しでも電気代を安くしたいので、多少の初期費用は仕方ないと考える大家の場合、特にLEDへの交換はおすすめです。
※参考:一般財団法人 家電製品協会 省エネ家電deスマートライフ – 2022 スマートライフおすすめBOOK
共用灯の交換費用や電気代は、原則として大家の負担です。本記事で紹介した通り、LEDに交換するとランプが長持ちするので交換回数を大幅に減らせる上、消費電力もかなり少なくなるので電気代もコストダウンできます。共用灯の照明器具が老朽化していて、新しい器具に交換するタイミングが近い場合には、ぜひLEDシーリングライトを検討してみてください。
宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など上場企業の案件を中心に活動中。