2023.03.31
不動産トピックス

路線価の見方・調べ方とは?評価額を算出する方法も解説

土地の価格を表す言い方として、国土交通省が定める「公示地価」、都道府県が定める「基準地価」、国税庁が決定する「路線価」の3つがあります。土地の評価額の割り出し方を知りたい人に向けて、本記事では「路線価」の算出方法に特化して解説します。これから土地を相続するなど、土地の評価額について知識を付けたい人はぜひ参考にしてください。

【著者】矢口 美加子

 

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路線価とは「国税庁が公表する土地価格のこと」

路線価には、国税庁が公表する路線価と、市町村が公表する固定資産税路線価があり、国税庁は毎年7月頃、市町村は基準年の4月頃に発表しています。

国税庁によると、路線価とは「土地の価額がおおむね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1平方メートル当たりの価額」とされています。具体的には、道路に面する宅地の1平方メートル当たりの価格です。全国の道路に価格(千円単位で表示)を設定し、原則、そこに接する土地を評価します。

対象となるのは全国にある私有地の宅地・田・畑・山林等で、1月1日を評価時点とし、1年間の地価変動などを考慮したうえで地価公示価格の80%程度を目安に定めています。

路線価はどういうときに使われる?

路線価はどういうときに使用されるのでしょうか。主な場面としては以下の2つがあります。

・土地評価額を算出するとき
・相続税や贈与税を計算するとき

ここでは、それぞれの場面においての路線価の使われ方について解説します。

➀土地評価額を算出するとき

路線価は公示価格の70~80%程度の評価であるため、土地の現在価格を知りたいときに利用できます。たとえば、土地を購入または売却する際は、適正な市場価格を知るために土地の評価額を知っておくべきでしょう。

土地評価額を算出する式は、基本的に「路線価×地積(㎡)」です。しかし、同じ区域でも接道状況や土地の形状などに違いがあり、条件が同じではありません。そのため、地区区分で定められた補正率で路線価を補正する場合があります。奥行補正率や不整形地補正率は、国税庁のウェブサイトで確認することができます。

②相続税や贈与税を計算するとき

路線価は、相続税・贈与税・固定資産税を納めるときにも使用されます。冒頭でも紹介したとおり、路線価には、相続税や贈与税を計算するときに使用する「相続税路線価」と、固定資産税や都市計画税などを算出する際に使用する「固定資産税路線価」の2つがあります。

相続税路線価と固定資産税路線価の違いはこちらをご覧ください。

  相続税路線価 固定資産税路線価
評価主体 国税庁 市町村(東京23区は東京都)
評価の頻度 毎年 3年に1回
発表時期 毎年7月頃 基準年の4月頃
価格水準 公示価格の80%程度 公示地価の70%程度
調査時点 1月1日 基準年の1月1日
根拠となる税金 相続税、贈与税 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税

 
相続税路線価とは、土地の相続税評価額を求めるために使用する土地価格で、国税庁のウェブサイト「財産評価基準」で調べられます。相続税や贈与税においては土地等の価額は「時価」で評価することが定められているため、国税局では毎年、全国の民有地について路線価および評価倍率を定めて公開しています。

固定資産税路線価とは、土地の固定資産税評価額を求めるために用いる土地価格で、「全国地価マップ」というウェブサイトで見ることができます。各市町村(ただし東京都23区内は東京都)が算出します。固定資産税路線価から求められる固定資産税評価額により、固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税が算定されます。

◆不動産の相続税については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
不動産の相続税|計算ステップと特例、注意点などを解説!

路線価の調べ方

路線価は、国税庁のウェブサイトにある「路線価図・評価倍率表」で調べられます。本章では路線価の調べ方について分かりやすく解説します。

地図/テキストから都道府県を選択する

国税庁の「路線価図・評価倍率表」のサイトを表示します。各都道府県が表示されるので、調べたい土地のある都道府県をクリックしてください。たとえば東京都渋谷区にある土地を調べたい場合は「東京都」を選択します。

路線価図を選択する

次に、以下の画面が表示されるので、路線価図を選択します。

出典:国税庁 – 路線価図・評価倍率表

市区町村を選択する

調べたい地域のある市区町村を選択します。

出典:国税庁 – 路線価図・評価倍率表

この場合、渋谷区をクリックすると以下のような画面が表示されます。

出典:国税庁 – 路線価図・評価倍率表

このように、あいうえお順で該当する地名が一覧表示されます。詳細を知りたい場合、地名の右側に記載されている「路線価図ページ番号」をクリックすると以下のような路線価図が表示されます。(例:渋谷区上原1)

出典:国税庁 – 路線価図・評価倍率表

ここまで開けたら、次は路線価の見方について知っておく必要があります。路線価の詳しい見方は次の章で詳しく解説します。

路線価の見方

路線価の価額は千円単位で示されており、たとえば「500」と記載されている場合は、1平方メートルあたりの路線価は「50万円」ということです。0を数字の末尾に3つ付けて換算しましょう。

路線価図の上部には地区区分(※2)を表す記号や借地権割合(※1)を示す表が記載されており、数字とアルファベットで路線価と借地権割合が分かるようになっています。たとえば下図のように「215D」と記載されている場合は、1平方メートルあたりの路線価が21万5千円で、借地権割合は60%ということです。「A町2丁目、⑧」と記載されている場合は、「A町2丁目8番」であることを意味しています。


出典:国税庁 – 路線価図の説明

※1 借地権割合とは、土地の更地評価額に対する借地権価額の割合をさし、一般的に都市部の主要駅周辺など土地の利用価値が高い地域では借地権割合が高くなります。借地権は土地を利用する権利として財産的な価値があるからです。

※2 地区区分とは、路線価地域において宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに定められた区分です。国税局が指定しており、土地の利用状況に応じて次の7つに区分されます。路線ごとに下図の記号でそれぞれ表示されています。


出典)国税庁 – 【参考6】路線価図の説明

路線価から評価額を算出する方法

相続税や贈与税を計算するときには、対象となる土地や家屋の価値を評価することが必要です。ここでは、路線価から評価額を算出する方法について、➀ひとつの道路に面している場合、②ふたつの道路に面している場合の2つに分けてそれぞれ解説します。

なお、実際に評価するときには土地の形状によって「奥行価格補正率」「側方路線影響加算率」などの補正がかかることがあります。

➀ひとつの道路に面している場合


出典:国税庁 – No.4602 土地家屋の評価

上の図のように路面に接している土地全体がひとつの道路に面している場合は、以下の計算式で評価額を割り出します。

評価額=(正面路線価)×(奥行価格補正率)×(面積)

 
上の図の例では、(正面路線価30万)×(奥行価格補正率1.00)×(面積180平方メートル)で、評価額は5,400万円となります。

奥行価格補正率は、奥行きの長い宅地の評価を抑えることが目的のため、必ず1以下の数値になります。国税庁のウェブサイトで「奥行価格補正表」が公開されていますので、こちらで奥行価格補正率を確認することができます。

奥行価格補正表についてはこちら

②ふたつの道路に面している場合


出典)国税庁 – 正面路線の判定(1)

上の図のようにふたつの道路に面している場合は、以下の計算式で評価額を割り出します。

評価額={(正面路線価×奥行価格補正率)+(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)}×地積

 
上の図のように正面と側面が道路に面している土地では、どちらかの道路をメイン道路(正面路線)と判定することが必要です。このようなケースでは、計算する際に「側方路線影響加算率」も利用します。側方路線影響加算率表も国税庁のウェブサイトで公開されています。

側方路線影響加算率表についてはこちら

正面路線の判定は、「路線価×奥行補正率」で計算して、高いほうを正面とします。

上の図のケースでは「道路a(4,000B)」と「道路b(3,900B)」の路線価をそれぞれ計算します。奥行補正率は、高度商業地区の場合、「道路a」の奥行価格補正率が0.96、「道路b」が1.00です。計算すると道路bのほうが路線価は高いため、道路bを正面路線と判定します。

道路a:400万円×0.96=384万円(側方路線)
道路b:390万円×1.00=390万円(正面路線)

 
上の図のような2系統の道路に接している高度商業地区の角地の場合、側方路線影響加算率は0.10です。上の図のケースでは路線価が77億1,120万円と算出できます。

【計算式:高度商業地区での事例】
評価額={(正面路線価 390万円×奥行価格補正率 1.00)+(側方路線価 400万円×奥行価格補正率 0.96×側方路線影響加算率 0.10 )}×地積 1800平方メートル=(390万円+38万4千円)×1,800平方メートル=77億1,120万円

 

全国地価マップで調べることもできる

上記で紹介した内容は国税庁のウェブサイトを参考にしていますが、すでに記事前半でも紹介している通り、路線価は全国地価マップというウェブサイトで調べることもできます。全国地価マップは、見やすく地図の切り替えがしやすいので、こちらも利用してみることをおすすめします。

全国地価マップはこちらから

全国地価マップの使い方

最初に全国地価マップのウェブサイトを表示します。こちらのウェブサイトは「一般財団法人 資産評価システム研究センター」が運営しており、固定資産税路線価、相続税路線価、地下工事価格、都道府県地下調査価格の4項目をリサーチできます。

路線価は「固定資産税路線価」と「相続税路線価」の両方を調べられるので、知りたいほうを選びます。

出典:一般財団法人 資産評価システム研究センター – 全国地価マップ

下図の画面が表示されたら、調べたい都道府県を選びます。画面上をクリックしていくと、調べたいエリアが表示されます。

出典:一般財団法人 資産評価システム研究センター – 全国地価マップ

最終的には下図のような画面で路線価を確認できます。下図は令和4年の品川区小山6丁目付近の相続税路線価です。

出典:一般財団法人 資産評価システム研究センター – 全国地価マップ

詳しい使い方は以下のページで確認できます。
使い方ガイド – 全国地価マップ

全国地価マップの見方

全国地価マップは、地図が見やすく、拡大縮小も簡単に行えるのが特徴です。調べたいエリアをドラッグで変更できるので、直感的にサクサクと操作したい人には特におすすめです。地図上の数値の単位や見方は国税庁のものと同様ですので、データの信頼性も問題ありません。

過去のデータは、地図画面の上部にあるタグにそれぞれ4年分が掲載されています。クリックするだけで簡単に切り替えられるため、過去事例と比較したいときに活用しやすいでしょう。

路線価の見方をマスターして土地の評価額を正しく算出しよう

路線価は、土地を購入したり売却したりする際や、相続税や固定資産税を納める際に必要です。路線価の見方は最初のうちこそ難しく感じられますが、コツを覚えれば正しく見られるようになってきます。土地の形状によって計算式は変わるため、正しい計算方法を知っておきましょう。

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