2021.02.12
賃貸管理

更新料の大家の取り分とは|相場や受け取れないケースを紹介

不動産オーナーにとって、入居者が支払う賃貸更新料は家賃収入と同様に大切な収入源です。ただ、この更新料は地域や物件によりさまざまで、場合によってはもらえるはずの更新料を請求できないケースも存在します。そこで、本記事では賃貸更新料の相場や決め方などを詳しく解説します。

【監修者】弁護士 森田 雅也
【著者】矢口 美加子

 

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更新料の相場は地域や物件によってさまざま

賃貸更新料(以下、「更新料」と表記)とは、入居者が賃貸借契約を更新する際に支払うもので、多くの場合は賃貸期間が2年間と設定されており、 その更新ごとに入居者からオーナーへ支払われることが一般的です。

まとまった金額になるために入居者にとっては痛い出費といえる更新料ですが、実は「必ず支払わなければならないもの」という法令上の義務はありません。にもかかわらずこういったルールが残っているのは、古くからのならわしとして行っている地域がいまだに多く存在しているためです。

また、物件によってはそもそも更新料を設定していない場合もあり、更新料は地域や物件によってかなりの違いがあるといえます。そこで、まずは更新料の相場について見ていきましょう。

更新料の相場【地域別】

地域別の更新料を徴取している割合は、国土交通省が平成19年に公表した「民間賃貸住宅に係る実態調査」でまとめられている内容をもとに紹介していきます。本調査による地域別の更新料の徴収割合・平均月数は下の表をごらんください。

【地域別:更新料の状況】

都道府県 更新料の割合(%) 更新料の平均(月)
北海道 28.5 0.1
宮城 0.2 0.5
東京 65.0 1.0
神奈川 90.1 0.8
埼玉 61.6 0.5
千葉 82.9 1.0
長野 34.3 0.5
富山 17.8 0.5
愛知 40.6 0.5
京都 55.1 1.4
大阪 0
兵庫 0
広島 19.1 0.2
愛媛 13.2 0.5
福岡 23.3 0.5
沖縄 40.4 0.5

出典:国土交通省 – 民間賃貸住宅に係る実態調査 P2

特に徴収割合が高い神奈川県と千葉県に加え、東京都と埼玉県も更新料の徴収は6割を超えており、関東圏は更新料を支払う割合が高いことが見て取れます。一方、関西圏の大阪や兵庫の徴収割合は0%というように、同じ日本でも地域によって更新料の支払いのルールにはかなりの温度差があることが分かります。

更新料の相場【全国版】

では、更新料の相場を全国平均で見ていきましょう。このグラフは国土交通省が令和元年度に公表した「住宅市場動向調査」です。

出典:国土交通省 – 令和元年度 住宅市場動向調査報告書 P227

全国的に見ると、更新料があるという世帯は令和元年度で約4割だとわかります。平成28年度以降はほぼ同じ状況が続いており、更新料が家賃のちょうど1カ月分だと回答した世帯は7割強を占め、1カ月未満だと回答した世帯は次に多くなっています。更新料の支払いが発生する9割近くの世帯は家賃1カ月程度の更新料であるものの、中には家賃2カ月分という物件も一定数存在することが見て取れ、物件により家賃1カ月程度の差があることがわかります。

更新料は大家 or 管理会社どちらに入るの?

冒頭でも説明したとおり、更新料とは、賃貸人であるオーナーが入居者から受け取るものです。基本的には契約更新をするごとに発生します

なお、契約更新においては、先述の更新料だけでなく、「更新手続きに対しての事務手数料」が発生することがあります。この事務手数料は不動産仲介業者や管理会社に対して支払うもので、入居者からオーナーへ支払う更新料とはまったく別のものをさします。

では誰がこの事務手数料を負担するのかというと、原則はオーナーが管理会社へ更新手続きを依頼する対価として支払います。ただし、契約書に「入居者が更新料と合わせて事務手数料を支払うものとする」などと明記されている場合、入居者が負担することになっても法的に問題はないと考えられています。

更新料の大家の取り分はどのくらい?

更新料は入居者が大家に対して支払うもので管理会社が受け取る金銭ではないこと、一方の事務手数料は管理会社が100%受領する金銭で、負担者は大家か入居者のいずれかであることは先述のとおりです。そのため、仮に事務手数料を負担するのがオーナー側である場合、管理会社は入居者から更新料を受け取った後、この事務手数料分を差し引いた金額をオーナーの口座へ送金することになります。なお、この事務手数料は月額家賃の半額程度で設定される傾向が多くみられます。

大家が更新料を受け取れなくなる可能性があるケース

オーナーが入居者からの更新料を受け取ることができないというケースはあるのでしょうか?

賃貸借契約に更新料の明記がない場合

更新前に締結した契約書に「更新時には更新料を支払うこと(更新に関する事務手数料も含む)」などと明記されていない場合、オーナーは入居者に対して更新料を請求することはできません。あくまでも明確に記載されている場合に限ります。理由として、更新料の支払いは家賃とは異なり、入居者にとって法的に義務付けられたものではないからです。

オーナーが更新料の支払いを求めるならば、不動産管理会社は契約書への記載忘れをする確率は低いといえますが、委託管理せずに自主管理を行うオーナーの場合は自ら契約書を作成することになるため、記載漏れには注意する必要があります。

更新料は大家が決めることができる

更新料の金額は基本的に大家が決めることができます。更新料だけでなく、家賃・敷金・礼金なども大家が算出する金額となります。なお、上で説明した事務手数料の金額は仲介業者や管理会社側が決めますが、中にはオーナーとの話し合いによって決められる場合もあります。

ただし、いくらオーナーが更新料を自由に決めてよいといっても、一般的に通る金額でないと認められません。借地借家法30条には「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは無効とする」との定めがあり、入居者にとって著しく負担をかけるような特約は規定違反となります。

また、中には更新料の支払いを出し渋る入居者がおり、こういった入居者とのやりとりやトラブルを避けたいために最初から更新料を設定しないオーナーが存在します。しかし、たとえ更新料を設定しなくても、管理会社へ更新契約を依頼している限りオーナーは事務手数料を支払わなければなりませんので、更新料はしっかりと設定しておくことをおすすめします(自主管理オーナーであれば自身で契約手続きを行うため、事務手数料の支払いは発生しません)。

◆入居者からの家賃の値下げ交渉が起こった場合の対処法についてまとめていますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
更新時の家賃値下げ交渉の対処法!大家としての心構えと事例

大家の負担ゼロで更新料を保証する方法

更新料はオーナーにとって大切な収入源のひとつですが、中には更新料をなかなか支払ってくれない入居者が少なくありません。管理会社へ更新契約を依頼している場合、管理会社は手続きを代行してくれるものの、更新料を保証してくれるわけではないので、更新料の支払いを管理会社へ請求することはできません。

また、自主管理オーナーの場合、更新料の請求から回収までオーナー自身で行わなければならず、時間的にも精神的にも大きな負担になってしまう可能性があります。こういった時にオーナーにとって心強いのが、家賃保証サービスの「家主ダイレクト」です。

家主ダイレクトは、保証委託料を入居者から支払ってもらう仕組みであるため、オーナーは費用負担ゼロで利用することができます。入居者による家賃滞納の保証に加え、更新料は家賃最大2カ月分まで保証しています。家賃や更新料の支払いが遅れていてもオーナーは入居者へ直接連絡を行う必要がなく、手間や時間をかけずに回収できることが大きなメリットです。

特に自主管理オーナーで賃貸経営を行うならば、集金業務は大事なポイントだといえます。更新料だけでなく、電気・水道・ガス使用料などの月額費用、早期解約違約金、入居者が負担する範囲内での原状回復費用なども保証しています。

更新料を徴収する場合は入居者にとって負担にならない金額にしましょう

更新料を徴収するかどうか、更新料をどのくらいの金額で設定するかは地域によりばらつきがあり、それをふまえてオーナー側は慎重に金額を設定する必要があるといえます。特に自主管理オーナーの場合、更新料の滞納が発生すると、回収作業に費やす時間や手間は大きなものになるでしょう。こういった場合に備え、入居者の家賃保証だけでなく更新料なども保証する家賃保証会社への加入を検討してみることがおすすめです。

【監修者】森田 雅也

東京弁護士会所属。年間3,000件を超える相続・不動産問題を取り扱い多数のトラブル事案を解決。「相続×不動産」という総合的視点で相続、遺言セミナー、執筆活動を行っている。

経歴
2003 年 千葉大学法経学部法学科 卒業
2007 年 上智大学法科大学院 卒業
2008 年 弁護士登録
2008 年 中央総合法律事務所 入所
2010 年 弁護士法人法律事務所オーセンス 入所

著書
2012年 自分でできる「家賃滞納」対策(中央経済社)
2015年 弁護士が教える 相続トラブルが起きない法則 (中央経済社)
2019年 生前対策まるわかりBOOK(青月社)

 

 

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