2021.10.07
トラブル対応

一軒家賃貸のトラブル事例・対処法をオーナー向けに解説!

一軒家の賃貸は入居するのが一世帯であるため管理しやすいメリットがある反面、入居者が退去すると家賃収入はゼロになってしまうリスクがあります。そのため、入居者の不満につながり退去されてしまわないよう、オーナーにはトラブルの発生に対する注意を払ったり、トラブル発生時の対応は迅速に行ったりすることが求められます。本記事では、一軒家の賃貸で起こりがちなトラブルと対処法を解説していきます。

【監修者】弁護士 森田 雅也

 

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戸建て賃貸でよくあるトラブルとは

戸建て物件を所有する賃貸オーナーが直面するトラブルは、大きく分けて建物や設備に関するもの、入居者や隣人に関するもの、契約更新に関するものの3つに分かれます。

1.建物や設備に関するトラブル

アパート・マンションの賃貸経営と同様、一軒家の賃貸においても経年劣化や自然災害などの原因により建物・設備に不具合が発生することがあります。特に、築年数が古い建物であればあるほどこうしたトラブルの発生リスクは高まります。

建物や設備に関するトラブルは原則としてオーナーが費用負担して修理しなければならず、民法の規定でも賃貸借契約の締結によって賃貸人には修繕義務が課せられていることが記されています。ただし、入居者の故意や過失によってトラブルが発生した場合においては入居者が修理すべきであると判断されるケースもあります。

民法第606条では以下のように定められています。

(賃貸人による修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

出典:e-gov法令検索

では、具体的な事例をいくつか紹介していきます。

水漏れした

建物や設備に関するトラブルのひとつに挙げられるのが、水漏れに関するものです。外壁や屋根の水漏れ、配管やエアコンの不具合による水漏れなど、その程度によっては大きな事故につながる可能性がある場合もあります。

入居者から水漏れに関するトラブルの報告があったら、基本的には專門業者を手配して原因を調査することから始めます。水漏れを放置すると、家電製品への影響、カビや異臭の発生、シロアリの発生などといった二次災害を招く可能性があるため、できるだけ迅速に対応することが重要です。

備え付け設備が故障した

エアコンやキッチンといった備え付け設備の故障によるトラブルが発生した場合、原則としてオーナーが修理する必要があります。暑い時期・寒い時期にエアコンが故障すると入居者からのクレームにつながる可能性があるため、修理の手配は迅速に行いましょう。反対に、備え付けではなく入居者が自ら設置した設備の場合はオーナーに修理義務はないため、入居者が費用負担して直す必要があります。

なお、どちら側が費用負担して修理するのかという点は入居者とオーナーで認識違いが起きやすいので、契約書に備え付け設備の範囲を漏れなく記述しておくことが一般的です。

入居者が清掃を怠り汚れやカビが発生している

入居者が日頃の清掃を怠っていたために発生するトラブルもあります。汚れやカビはその代表例で、特に湿度が高い日が続くとカビが発生しやすく、結露やカビを放置するとシロアリの発生につながることがあります。シロアリは駆除が困難なうえ費用も高くつき、最悪の場合は柱や床材の交換が必要になります。

こういった汚れやカビによる損害は、それが建物の構造上の問題が原因であった場合にはオーナーが修理負担をしなければなりませんが、入居者が清掃を怠ったことが原因である場合は、故意または過失とみなされ、入居者側で負担するケースもあります。

2.入居者や隣人に関するトラブル

続いて、入居者や隣人に関するトラブルを紹介していきます。

入居者がうるさいとクレームが入った

入居者の騒音問題は、不動産経営においてもっとも起こりやすいクレームのひとつです。総務省の公害等調整委員会が発表している「公害苦情調査」によると、平成26年以降において苦情受付件数の中でもっとも多いのは「騒音」で、令和2年度による最新の調査データでも騒音は35.2%と高い割合を占めています。このことから、多くの人にとって「うるさい」ということは生活においてもっとも不快に感じやすく、クレームにつながりやすいことが分かります。

一軒家の賃貸では賃貸物件の入居者がうるさいことで近隣住宅などからクレームが入る可能性があります。近隣住宅とのトラブルに発展しそうな場合、オーナーとして入居者へ注意を促さなければならない場面も出てくるでしょう。

アパートやマンションの賃貸だと、注意喚起の張り紙を掲示することから始め、改善されなければ徐々に段階を上げていく方法がとられますが、一軒家の賃貸の場合、まずは口頭で入居者へ軽めに注意することから始めていきましょう。

◆入居者同士のトラブルが起こった場合の対処法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
賃貸経営でよくあるトラブルは?3つの実例と効果的な対処法

入居者の家賃振り込みが遅れている

入居者の家賃の振り込みが遅れるといった家賃滞納問題は、一軒家の賃貸に限らず、多くの不動産オーナーが頭を抱える問題のひとつです。特に、一軒家の賃貸だと住んでいるのが一世帯であるため、家賃の振り込みに遅延が生じているとその月の家賃収入はゼロになりかねません。

目安としては、家賃の振り込みが遅れてから1週間ほど経過したら、まず口頭や電話で連絡していきます。それ以降も振り込みがされない場合は、内容証明郵便の送付、保証人への連絡など、徐々に段階を上げていく必要があります。家賃滞納が3カ月続いた場合は、法的な措置を検討するようにしてください。

◆家賃滞納が原因で入居者を退去させる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。督促状の文例も紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
【督促状文例あり】家賃滞納への対処法を4段階別に解説

入居者が自己破産してしまい家賃を回収できなくなった

中には、入居者が自己破産したことで家賃を回収できなくなるケースも存在します。通常、こういった場合には連帯保証人へ未納分の家賃を請求する方法がとられますが、連帯保証人に支払い能力がないと滞納分の家賃すべてを回収できず、オーナーは泣き寝入りになってしまう可能性が少なくありません。

そのため、オーナーができることとしては、入居者の家賃滞納が長期化しないよう入金確認をする、滞納の前兆が見られたら早めに行動をとることが挙げられます。自ら管理するのが大変な場合は、後述する家賃保証会社の利用をおすすめします。

3.契約更新に関わるトラブル

賃貸借契約は2年ごとに契約更新を行うケースが一般的です。その際、更新料の支払いや入居条件の確認などを行いますが、中にはスムーズにいかずトラブルが発生することがあります。

入居者が退去を拒否している

賃貸借契約において、オーナーの意向としては「契約を更新せず」期間満了に基づいて契約を終了させたいケースがあります。こういった時、入居者が素直に退去に応じてくれれば問題ありませんが、入居者から退去を拒否されて手続きが難航する場合があります。借地借家法上は、オーナー側に契約を更新しないことの正当事由がなければ、一方的に賃貸借契約の更新を拒絶することはできません。したがって、正当事由がない場合に入居者が退去を拒んでいるのならば退去させることはできません。

ただし、定期借家契約の場合はそうとも限りません。普通借家契約ではなく定期借家契約を交わしている場合、契約期間が満了すれば契約は終了します。もし契約終了後も入居者が入居し続けることを希望する場合は「再契約」が必要となります。普通借家契約と違い「更新」を前提としたものではないので、契約を終了させるために正当事由が必要となることはありません。そのため、仮に入居者が居住継続を希望したとしても、オーナー側の意向で契約を終了させることが可能です。

建物の老朽化がひどいので、入居者を退去させたい

築年数が長くなって建物の老朽化がひどくなると、建て直しや取り壊しを考えるタイミングが発生します。一軒家の建て直しや取り壊しとなったら、入居者には退去してもらうことになります。しかし、それほど老朽化が進行していないような場合には、入居者へ退去を求めることができるという正当事由が認められない可能性があります。そのような場合に、入居者が退去を拒むようであれば、オーナーが立ち退き料を払うことを検討することも一案です。

しかし、場合によっては、オーナー側が立ち退き料を支払うことを提案しても、入居者が退去を頑なに拒み、裁判に発展するケースもあります。トラブルを避けるためには、できるだけ早いタイミングで入居者に退去して欲しいというオーナー側の意向を伝えておくことが求められます。

契約更新に伴い家賃・管理費の値下げを依頼された

契約更新時、入居者から家賃や管理費の値下げを交渉されるケースがあります。一度値下げに応じてしまうと増額するのは難しくなるため、オーナーの心情的には「断りたい」というのが本音といえるでしょう。

しかし、交渉に応じなかったことが原因で退去されてしまって空室期間が長期化すると、より大きな損失となります。そのため、こういった交渉があったら、周辺の家賃相場や建物の劣化具合などを加味したうえで、入居者の希望している家賃が適正かどうかを客観的に判断する必要があります。

◆更新時の家賃値下げ交渉の対処法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
更新時の家賃値下げ交渉の対処法!大家としての心構えと事例

入居者が原状回復費の支払いを拒否している

入居者が退去する際は原状回復が必要ですが、復旧するにあたって必要な費用を入居者に拒否されてしまうケースがあります。こうしたトラブルへ対処するためには、まず原状回復とは何かを理解しておくことが必要です。国土交通省住宅局のガイドラインでは原状回復を以下のように定義しているため、こうした定義を元に契約書には原状回復の規定を盛り込むことが重要です。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

出典:国土交通省 – 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

契約書には、原状回復の費用負担に関して特約事項を定めることができますが、契約書に記載すればどのような内容でも有効になるわけではありません。有効と認められるためには借主が負担すべき原状回復の具体的な内容や原状回復費用の金額について、できるだけ明確に定めておくことが望ましいといえます。

あまり入居時に退去した場合のことを考えるのは気が進まないかもしれませんが、後になってトラブルに発展しないようにするためにも、退去した場合の原状回復要項をきちんと把握しておくようにしましょう。

トラブルが起きたらまずは契約書類の確認を

これまで一軒家の賃貸でよくあるトラブルを紹介してきましたが、こうしたトラブルが発生した場合、まずは契約書の確認から始めてください。不動産経営においては、どのような契約で貸し出しているかが重要なポイントだといえるからです。

オーナーが主張したい内容が契約書に明記されていれば、それが何よりの根拠になるので、トラブルが発生していない時でも定期的に契約書の内容は見直すようにしておくことをおすすめします。

特に確認すべき契約書として「賃貸借契約書」があげられます。賃貸借契約書とは、賃貸物件の貸主と借主の間で交わす契約書のことです。物件の住所や間取りといった「対象物件を特定する」項目の記載があるほか、契約期間や家賃といった「取引条件に関わる」項目の記載があります。

一軒家の賃貸トラブルを避けるためにオーナーができることは?

こうした一軒家の賃貸トラブルを避けるために、オーナーにはどのような対策が必要なのでしょうか。

入居者の審査をしっかりと行う

入居者の審査を入念に行うことは不動産経営の基本だといえます。特に、一軒家の賃貸の場合には入居するのが一世帯であるため、より慎重な審査が必要です。

入居者の審査には2つのパターンがあり、オーナーが自ら賃貸経営を行っているのか(自主管理オーナーなのか)、それとも不動産会社や家賃保証会社へ業務を委託しているのかによって異なります。前者ならば入居者の審査はオーナー自身で行う必要がありますが、後者は最初に委託先の会社が審査を行い、その後にオーナーが最終判断を下します。

不動産会社や家賃保証会社の審査はプロの目で行われますが、絶対に安心だと過信せず、本当にその入居者を入居させてよいかどうかオーナーとして真剣に考えることが重要です。

設備、契約内容、自治体ルールを徹底確認しておく

先述したとおり入居者との契約書の内容について確認しておくほか、設備の使用方法や自治体のルールを確認しておくのも重要です。

オーナーが設備の使用方法を理解していれば、仮に故障が発生しても、入居者が誤った使い方をしたことが原因なのか、それともメンテナンスを怠ったことが原因なのかという判断がつきます。トラブルが発生したら、修理手配と並行してこういった原因究明も進めましょう。契約書の記載内容によるものの、入居者の責任で故障が発生した場合は入居者側が費用を負担することになるのが一般的です。

また、自治体によるルールの内容を確認して、契約前に入居者へ周知徹底することも重要です。入居者が自治体のルールに違反してしまい近隣住宅からクレームが起こってしまう場合があるので、気をつけるようにしましょう。

物件を貸し出すときの状態を記録しておく

入居者が退去する際の原状回復をめぐるトラブルを防ぐためには、先述のとおり契約書に原状回復の規定を定めておくのと同時に、貸し出す前の状態を入念に記録しておくことも大切です。たとえば、退去時に問題になりそうな箇所(劣化が見られる設備など)があれば、入居者へ口頭で伝えたり文章で残したりするだけでなく、写真に撮っておくとより確かな根拠となります。加えて、現況確認書(入居時チェックリスト)を入居者にも作成してもらうこともトラブル防止に有効です。

リフォームをしておく

キッチンやエアコンといった設備の故障、雨漏りなどのトラブルは、築年数が古い建物ほど起こりやすくなります。そのため、古い建物を賃貸に出す場合は、貸し出す前に全面リフォームを行い、最新の設備に交換しておくことがおすすめです。リフォームには費用がかかりますが、トラブル発生後に修理する手間を考えると、先行投資したほうがよいケースもあります。

正しい耐用年数は使用する設備ごとに異なりますのであくまで目安ですが、一般的に給湯器やエアコンなどの設備は11~15年程度で交換が必要とされ、屋根や外壁は11~18年程度で塗装替えすることが推奨されています。全面リフォームをして綺麗な状態になれば家賃を高く設定できる可能性も高まるため、投資費用の回収につながるでしょう。

家賃保証会社を検討する

トラブル対応の負担を減らすためにおすすめな方法は、家賃保証会社を利用することです。家賃保証会社はその名のとおり、入居者の家賃に関わる部分を保証している以外にも、不動産経営に対するさまざまなサービスやサポートを提供していることがあります。


たとえば、株式会社Casaが提供する「家主ダイレクト」を利用した場合、オーナーは安定した家賃収入を確保できる・プロの目による入居者の審査を依頼できるだけでなく、退去時の精算費用の未払いに対する保証、滞納が長期化した場合の法的手続き費用保証など、賃貸経営で起こりうるトラブル全般へのサポートを受けられるのが大きな特徴です。

さらに、家主ダイレクトでは入居者募集支援も行っており、独自の仲介会社によるネットワークの中から対象エリアの仲介会社へ空室状況の配信を行います。オーナーにとっては客付けの機会が増えて空室対策にもなるので、メリットが大きいといえるでしょう。

◆家賃保証サービスの基本と家主ダイレクトのサービス内容については、以下の記事で紹介しています。
大家が直接契約すべき家賃保証サービスとは?家主ダイレクトで徹底解説

一軒家の賃貸でトラブルが発生したらオーナーは早めに対処しましょう

一軒家の賃貸は基本的に一世帯のみの入居となるため、トラブルになりそうなものは早急に解決しておくことが大切です。トラブル解決が遅くなって入居者の不満へとつながり退去してしまったら、家賃収入はゼロになってしまうリスクがあることを覚えておきましょう。すべてを管理することは難しいという場合には、家賃保証会社の利用を検討してみることもおすすめです。

【監修者】森田 雅也

東京弁護士会所属。年間3,000件を超える相続・不動産問題を取り扱い多数のトラブル事案を解決。「相続×不動産」という総合的視点で相続、遺言セミナー、執筆活動を行っている。

経歴
2003 年 千葉大学法経学部法学科 卒業
2007 年 上智大学法科大学院 卒業
2008 年 弁護士登録
2008 年 中央総合法律事務所 入所
2010 年 弁護士法人法律事務所オーセンス 入所

著書
2012年 自分でできる「家賃滞納」対策(中央経済社)
2015年 弁護士が教える 相続トラブルが起きない法則 (中央経済社)
2019年 生前対策まるわかりBOOK(青月社)

 

 

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