2022.10.19
トラブル対応

水漏れ工事費用は誰負担?大家がとるべき対応と対処ステップ

アパートやマンションの賃貸経営では、さまざまなトラブルを経験します。中でも、水漏れに関するトラブルは入居者に迷惑をかけるだけでなく、カビやシロアリの発生などの二次被害を招く可能性があるため、早急に対応しなければなりません。そこで、本記事では賃貸経営における水漏れ工事の原因や対処方法、工事費の負担の決め方に関して解説します。

 

オーナーのための家賃保証
「家主ダイレクト」

家主ダイレクトは、27万人を超えるオーナーに利用されている「オーナーが直接使える」家賃保証サービスです。

  • 賃貸経営をしているけど、なぜか手元にお金が残らない
  • 家賃の値下げはせず空室対策をしたい
  • 月々の管理コストを削減したい

こうしたお悩みを抱えている方は、まずは資料ダウンロード(無料)しお役立てください。

賃貸経営に水漏れトラブルはつきもの

賃貸経営では水漏れに関するトラブルはつきものです。トイレ、洗面、キッチンなどの水回り関係は生活に欠かせない設備であるため、劣化の進行が早い傾向にあります。特に水漏れはもっとも起こりやすいトラブルです。

また、雨漏りや配管の漏れなどが原因となり、壁や床、天井の中で水漏れが発生するケースもあります。この場合、壁や天井にシミとなって水漏れが現れて気づくことが多いのですが、初期の段階では目に見えないため、発見が遅れる可能性があります。

オーナーとしては、水漏れトラブルがいつ発生してもすぐに対処できるよう、体制を整えておくことが大切です。

賃貸物件で水漏れが発生する原因

水漏れが発生する主な原因を3つ紹介します。工事費用の負担者は原因によって異なりますので、条件をよく理解しておきましょう。

経年劣化

水回り設備や給排水管が経年劣化すると、水漏れが発生しやすくなります。特に、築年数が10~15年を超えたあたりから設備の老朽化が進むため、アパートやマンションなどでは大規模修繕を行い、設備や給排水管の交換を実施して予防保全に努めるのが基本です。

しかし、予算の関係から工事が先送りになっているケースは珍しくなく、トラブルが実際に発生した後に対処するという態度をとる物件オーナーもいます。もし経年劣化が原因で水漏れが発生した場合、修理の手配はオーナーが速やかに実施する必要があります。

また、経年劣化による水漏れだと、ほかの部屋にある同様の設備や給排水管も経年劣化が進行している可能性が高いため、全体的な修理や交換も検討する必要があります。

入居者の過失

入居者の過失による水漏れのケースもあります。たとえば、浴室の水を止め忘れて放置してしまった、トイレが詰まって水が溢れ出してしまったなどのケースが含まれます。中には、発生源である入居者自身は水漏れに気づいておらず、ほかの部屋に水漏れの被害が及び、その部屋に入居中の入居者から連絡を受けて水漏れが発覚、といったケースもあります。

ほかの部屋へ被害が出ている場合、水漏れの原因調査をしなければなりませんが、部屋内に立ち入る際は入居者の同意が必要です。物件オーナーであっても、勝手に室内に立ち入ると不法侵入などの罪に問われるケースがあるので、急を要する場合でも必ず同意は取るようにしましょう。

原因がわからない場合

水漏れが起こる原因にはいろいろなケースが考えられます。そのため、入居者とオーナーのどちらが費用負担すべき工事なのか、すぐには判断できない場合もあります。この場合、オーナーには原因調査を行う義務があるため、管理会社や業者へ調査を依頼して、すぐに対応することが大切です。

ただし、管理会社へ対応を丸投げするのではなく、調査方法の把握や進捗状況の確認はしっかりと行う必要があります。また、水漏れの原因が不明で工事の費用負担について判断できない場合でも、二次被害などを招かないために、一旦、応急処置を施さなければなりません。この際も、管理会社へ依頼して速やかに実施するようにしましょう。

賃貸物件の水漏れ工事費用は誰が払う?

水漏れ工事の費用はオーナーが負担するケースと入居者が負担するケースがあります。それぞれどのような状況が考えられるか、以下にまとめます。

オーナー負担になる場合

経年劣化や自然災害など、発生した理由が入居者に起因するもの以外の場合は、基本的にオーナーが工事費用を負担することになります。また、原因が分からず費用負担者を判断できない場合も、一旦はオーナーが工事費用を負担して修理する必要があります。

水漏れトラブルは火災保険が適用できますが、契約によっては自己負担になる金額(免責金額)が設定されているケースや、一定の規模以上でなければ保険金が出ないといった制限がついているケースもあるため、補償内容は事前によく確認することが必要です。

入居者負担になる場合

入居者の過失によって水漏れが発生した場合は、入居者が工事費用を負担します。ただし、この場合も修理の手配はオーナーが行うことが基本ですので、入居者から依頼を受けた時は速やかに対応することが大切です。

なお、水漏れ被害が別の部屋まで及んだ場合、ほかの入居者の所有物へ損害を与えてしまう可能性があります。ほかの入居者の所有物に対する被害に関しては火災保険では補償されないため、入居時に個人賠償責任保険に加入することを促して対策を取っておくことがおすすめです。

水漏れが発生した場合の対処ステップ

水漏れが発生した場合に、自主管理で賃貸経営を行うオーナーが取るべき対応を以下にまとめます。

STEP1:入居者から連絡を受ける

賃貸住宅の室内で水漏れが発生した場合、入居者からオーナーへ連絡が入ります。連絡を受けたら、どこから水漏れが発生しているのか、どの程度の量が漏れているのか、いつ頃発見したのかなどをできるだけ具体的に確認します。正確に聞き取ることで、修理の緊急度やほかの部屋へ被害が及ぶ可能性などを、ある程度は推測することができます。

STEP2:応急処置を施す

水漏れの状況が分かったら、次は被害が拡大しないように応急処置を施す段階です。水道の元栓を止める・タオルやバケツを設置する・吸水シートを敷くといった簡単な方法で対処できるならば、オーナー自らが現場に直行して構いません。その際、水漏れの状況や漏れている箇所の写真を撮っておくと、仮に専門業者へ修理依頼するとなった時に役立ちます。

ただし、知識や経験がなければ間違った対応をして状況を悪化させてしまう可能性がありますので、対処が難しい場合は、次のSTEPで紹介する、水道修理の専門業者へ連絡をして現場に急行してもらうことをおすすめします。

STEP3:修理手配をする

専門業者へ連絡をして修理依頼を行います。応急処置の段階で現場確認が済んでおり、水漏れ原因の特定ができている場合は、速やかに修理の日程を手配していきます。

なお、水漏れ箇所の周辺に電気器具や配線がある場合、濡れたことが原因となり漏電トラブルを引き起こす可能性があります。もし漏電が発生すると火災などの重大な事故につながるケースがあるため、こうしたケースは電気設備の点検業者などへ連絡をして、異常がないか確認を取ることが大切です。

STEP4:保険会社へ連絡する

水漏れ工事がオーナー負担の場合、加入している保険会社に連絡して保険が適用できるか確認を行います。

ただし注意点として、水漏れの修理は火災保険で対応するのが基本ですが、通常の火災保険のみでは補償されません。火災保険に付帯して契約する「水漏れ補償」に入っていることが条件であるため、オーナーは事前に確認しておくようにしてください。

また、繰り返しますが、修繕費用が入居者負担となり、別の階の入居者の物にまで被害が及んでしまった場合は、火災保険で対応することができません。この場合は個人賠償責任保険が適用できますので、入居者が加入しているのであれば、保険会社に連絡をして対応するように促します。一方、入居者が個人賠償責任保険に加入していない場合は入居者の自費負担となりますので、支払い額や時期などはオーナーと入居者で話し合う必要があります。

【参考】管理会社へ業務を委託している場合は?
 
物件の管理を管理会社へ委託している場合は、水漏れの連絡の受け付けから、一時対応、工事の手配まで、すべて管理会社が行います。オーナーに対しては管理会社から連絡が入るため、状況の把握をするようにしましょう。なお、この場合も保険会社への連絡はオーナーが行う必要があります。

水漏れ工事の費用相場

水漏れ工事は専門業者へ依頼するのが基本です。しかし、中には法外な価格で工事費を請求してくる業者も存在するので、ある程度の費用相場を把握しておくと安心です。以下、場所ごとの工事の費用相場をまとめます。

トイレ、洗面台、キッチン、浴室など

設備の部品交換などといった簡単な修繕だと、1万円~10万円程度が相場です。交換する部品本体の価格と作業員の人件費が費用の内訳になるため、部品代や修理対応する作業員の人数、時間などによって金額は変動します。

一方、トイレの便器本体の交換、キッチンの一式交換、配管の交換などのように設備本体ごと更新が必要なケース、給排水管の交換が必要なケースでは、数十万円の費用がかかることもあります。なお、築年数が古い建物では、設備の部品がすでに廃盤となっており、一部の部品が劣化していたとしても本体ごと更新しなければならないケースもあります。

床、壁、天井など

水漏れ被害によって床や壁、天井の張り替えが発生することがあります。張り替える壁クロスや床材の種類によって金額は変わりますが、数万円~数十万円程度が相場です。

なお、トイレや浴室の水漏れが階下にまで及ぶことで、下の階の天井にシミができ、補修しなければならない場合があります。自分の部屋だけでなく、ほかの居室にまで範囲が広がれば、そのぶん費用は高騰します。そのほか、漏電調査のために電気設備の点検業者へ対応を依頼した場合、追加で数万円の費用がかかることを見込んでおく必要があります。

オーナーは水漏れ工事への対応を早急に行おう

水漏れのトラブルは突然発生することがあります。賃貸物件のオーナーはいつ水漏れが起こっても焦ることなく対処できるように、応急処置の方法や専門業者の連絡先を把握しておくと同時に、費用負担の決め方、適用できる保険の種類なども理解しておくことが大切です。

特に築年数の古い物件の場合、経年劣化による水漏れの発生リスクが高いため、オーナーはいざという時にすぐに動いてくれる専門業者を複数社押さえておくことをおすすめします。急な対応が難しい場合や、アパートやマンションの一棟投資のように経営の規模が大きい場合、管理会社に業務全般を委託することもおすすめです。

◆築古物件の賃貸経営について詳しくまとめた記事はこちらです。
築古物件の賃貸経営|メリットデメリットと成功ポイント5つ

 

PREV 退去勧告とは?検討すべきケースや手順、4つの防止策について
NEXT 小屋に固定資産税はかかる?その条件と税金額の計算方法とは

関連記事