2023.04.04
空室対策

三点ユニットバスのリフォーム|費用相場、方法、注意点など

不動産ポータルサイトなどで賃貸の部屋探しをする人の中で、「バス・トイレ別」を条件のひとつにして探す人は多くいます。本記事は賃貸オーナーに向けて、三点ユニットバスのリフォームをする際の費用相場や方法、注意点などについて解説します。本記事を参考に、空室対策の一環として、ぜひ三点ユニットバスのリフォームを検討してみてください。

【著者】矢口 美加子

 

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バス・トイレ別の物件は人気が高い

賃貸物件で特に人気が高いのは「バス・トイレ別」のお部屋です。本章では、バス・トイレ別にするとなぜ入居者が魅力的に感じるのか、そして、実際にどのくらい人気が高いのかについて紹介します。満室経営を実現するには、入居者にとって魅力的な物件を目指すことが大切です。

バス・トイレ別が入居者にとって魅力的な理由

賃貸物件の部屋が「バス・トイレ別」だと、入居者は以下の点から物件を魅力的に感じる可能性が高いです。

・トイレとお風呂を別々に使用できる
・湿気のない清潔なトイレ環境を維持できる
・ゆったりとバスタイムを楽しめる
・トイレの匂いを気にしないで入浴できる
・温水洗浄便座付きのトイレを利用できる

 
トイレとお風呂が分かれている物件は、特に家族がいたり訪問者が多かったりする人だと、お互いに気兼ねなく使える点でメリットは大きいです。トイレとお風呂が一緒の場合、誰かが入浴中のときはトイレを使うことができません。

お風呂とトイレが一緒の場合、シャワーを使うとトイレの部分も水浸しになりカビなどが発生する原因になりますが、バス・トイレ別だと湿気のない清潔な環境を維持できるのもメリットです。便器やトイレットペーパーが濡れる心配もありません。また、ウォシュレットは電気製品ですから湿度の影響で故障するリスクがありますが、バス・トイレ別ならば電源を使用する温水洗浄便座付きのトイレを設置することができます。

三点ユニットの場合は基本的に浴槽内で体を洗わざるを得ないため、ゆったりと入浴するのは難しいといえますが、バス・トイレが別ならば体を洗う場所と浴槽が別ですので、ゆったりと湯船に浸かれます。

◆オーナーからみた三点ユニットのメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
三点ユニットバスとは?分離工事なしで空室改善するアイデア

バス・トイレ別は希望設備ランキングで1位

株式会社レビューが運営するメディア「さぶろく」では、日本全国の10歳以上の150人を対象に、「賃貸の家探しで最も重視すること」というアンケートを実施しました(※)。その結果、「バス・トイレ別」が1位となり、全体の46%の人が回答したことが分かりました。およそ2人に1人が希望していることから、賃貸物件探しにおいてバス・トイレ別物件は根強い人気があることが分かります。

賃貸経営でバスルーム関連に追加投資を行うことは一時的なコスト増となりますが、居住者の満足度を重視した賃貸住宅は入居者が決まりやすい物件となるため、将来的には安定した賃貸経営を行える可能性が高いという見方ができるでしょう。長期的に賃貸経営することは決めているものの、現状として空室が目立つというオーナーは、バス・トイレ別の貸室にすることを検討してみるのをおすすめします。

※参考:さぶろく – 【調査レポート】賃貸の家探しで最も重視することは?1位は「バストイレ別」!

三点ユニットバスのリフォームの費用相場

バスルームの設備は住宅設備の中でも特に入居者が気にするポイントです。入居者が満足できるバスルームが必要とはいえ、オーナーからすれば一体どのくらいのリフォーム費用になるのか気になるところでしょう。ここでは、三点ユニットバスのリフォームの費用相場を紹介します。

「分離」する場合

三点ユニットバスのリフォームと聞いてまず思い浮かべるのが、バスとトイレを分離する方法でしょう。分離する場合は4つの方法があり、それぞれの費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
バスとトイレのあいだに間仕切りを設置する 20~30万円
浴槽を撤去してトイレとシャワールームにする 60~80万円
洗面台と浴槽をセットにしてトイレを独立させる 80~100万円
バス、トイレ、洗面台を別の場所に設置する 100~150万円

 
もっともリフォーム費用がかからないのは、バスとトイレのあいだに間仕切りを設置する方法です。費用相場は20万~30万円と比較的安く、2~3日の工期で手軽にできます。浴槽を撤去してトイレとシャワールームに分離する方法だと、費用相場は60~80万円です。若い入居者の場合は一年中シャワーだけで済ませる人もいるため、浴槽がない物件は近年では珍しくありません。

洗面台と浴槽をセットにしてトイレだけを独立させるケースもあり、費用相場は約80~100万円です。クローゼットなどのスペースを利用してトイレを新設する場合もあります。

もっとも費用が高くなるのは、「お風呂」「トイレ」「洗面台」の3つを完全分離させ、独立した浴室とトイレを新設する方法です。大掛かりなリフォームになりますので、費用相場として100~150万円を想定しておく必要があり、ある程度の部屋の広さも必要です。初期コストはかかりますが、長期的に見れば入居者が満足する設備のため、従来の家賃より高めの家賃を設定することも可能です。

それぞれのリフォーム方法についての詳細は、次章で解説します。

「交換」する場合

三点ユニットバスの設備を新しく交換する方法もあります。この場合、費用相場としては40~90万円です。そのまま新品の三点ユニットバスに交換するだけならば、浴室とトイレをそれぞれ別室に分離するよりもコストは抑えられるでしょう。トイレとシャワールームに分離する場合の費用相場とそれほど変わりません。

交換する工事の場合、設置場所を変えずに設備だけの交換となり、配管工事をする必要がないため、リフォーム費用を抑えられるのはメリットといえます。

こちらのリフォーム方法についての詳細も、次章で解説します。

三点ユニットバス|分離リフォームの方法

ここでは、三点ユニットバスの分離リフォームの方法について解説します。

バスとトイレのあいだに間仕切りを設置する

ワンルームなどの狭い物件でトイレスペースを新たに確保できないときには、お風呂とトイレのあいだに間仕切りを設置するだけの簡易的な方法があります。既存の三点ユニットバスに専用のパーテーションを設置するだけなので、ほかの方法よりもリフォームは簡単です。パーテーションが設置されているだけとはいえ、バス・トイレ別ではあるので、入居者が増える可能性があります。

オーナーにとってのメリットは、リフォーム費用が20~30万円と比較的安いこと、既存の三点ユニットバスをそのまま利用できることです。その反面、間仕切りを設置するだけなので全体的な雰囲気はそれほど変わらない点、既存のユニットバスが狭いとさらに狭くなり不便になるので、入居者の満足度が下がる可能性がある点などはデメリットといえます。

三点ユニットを撤去して別のユニット商品にする

現在の三点ユニットを撤去して、より入居者のニーズに合った別のユニット商品にリフォームするという方法です。たとえば以下のユニット商品にリフォームするケースがあります。

・シャワールームとトイレがセットになったユニット商品
・バス・トイレ分離型のセパレートユニット商品
    
シャワールームとトイレがセットになったユニット商品では、三点ユニット(浴室・洗面・トイレ)のスペースをそのまま利用してリフォームすることも可能です。浴槽を撤去してシャワーのみ設置します。

お風呂とトイレが分離したセパレートユニット商品もあり、この場合は浴槽とシャワーがある場所とトイレを分離します。浴槽があると入居者が湯船に浸かれるため、満足度が上がるのがメリットです。

オーナーにとってのメリットは、お風呂・トイレ・洗面台を別々の場所にするより費用が安いこと、お風呂とトイレが分かれているので内見者が増える可能性があることです。その反面、浴槽が狭いので入居者の満足度が低いと空室につながる恐れがあったり、浴槽がなくシャワールームだけだと入居者が若い人に限られやすかったりする点はデメリットです。

バス、トイレ、洗面台を別の場所に設置する

お風呂・トイレ・洗面台をそれぞれ別の場所に設置する場合は、もっとも大掛かりな工事となります。広さも必要になってくるので、クローゼットなど居住空間にあるスペースを使う場合もあります。

この工事の場合、オーナーにとってのメリットは、入居者の利便性が高く入居率が向上する可能性があること、湿気がトイレに入らないので設備機器が傷みにくいことです。その反面、貸室が狭くなったり、間取りを変更するため工事費用が高くなったりするといったデメリットもあります。

三点ユニットバス|交換リフォームの方法

古い三点ユニットを新しい三点ユニットに交換する工事の場合、新しい設備になることで部屋のグレードを上げることができます。間取り変更を伴わないため壁や給排水管の工事が不要となるのも特徴です。

新しい三点ユニットに交換する工事がオーナーにもたらすメリットは、上で紹介したような分離工事よりもリフォーム費用が比較的安いこと、既存の三点ユニットのスペースをそのまま利用できることです。ただし、バス・トイレ別ではないので条件検索で物件が表示されず、内見者の増加が見込めない点、入居者の満足度が高いとはいえない点は懸念事項として挙げられるでしょう。

【注意】三点ユニットバスの分離リフォームは「できない」こともある

マンションなど集合住宅の場合は、部屋の間取りや建物の構造によってはリフォームすることができない場合があるため、最初に施工可能であるかを確認する必要があります。

三点ユニットを別々の場所に設置する場合、具体的には以下の問題が発生する可能性があります。

・トイレを配置するスペースがとれない
・水回りの位置を変更できない
・リフォームする場所に壊せない壁がある

トイレを配置するスペースがとれない場合は居住空間からとることになりますが、そうすると部屋の中が狭くなるのがデメリットです。

浴室・トイレなどを別々の場所に設置する際、水回り位置を変更するため給水管などの移設が必要ですが、排水管の設置は勾配がないとできません。排水管に勾配をつけるには床下に十分な高さが必要となり、床下に勾配をつけられるだけの空間があるかどうかで決まるといえます。

なお、排水管が床スラブを貫通し、階下の天井裏を通っている場合は水回りの移動はできません。床スラブは共用部分にあたり、排水管を動かすことができないからです。

また、リフォームする際に壁を壊す必要があっても、マンションの場合は構造上の問題で壊せない壁があります。ただし、工事の可否はリフォーム会社が決めるので、自分で判断して諦めてしまう前に、できればいくつかの会社に相談してみましょう。ちなみに、マンションでリフォームをする際は管理組合に届け出ることが必要なため、許可を得てから工事を実行するようにしてください。

三点ユニットのリフォームを決断する前に考えたいこと

三点ユニットに限らず、以下に挙げる点はリフォームするうえで考えておきたいポイントです。ここでは、リフォームを決断する前にしっかりと考えておきたい点について解説します。

費用対効果は見込めるのか

リフォームする際には、当然ですが工事費や設備費などのコストがかかります。投下したリフォーム費用に対して見合った効果が得られるのかについて考えることが必要です。

入居者が満足するレベルまでリフォームしようとすると、ある程度の費用がかかります。しかし、入居者が入りやすい物件になって将来的に空室が減れば、賃料が入るため安定した賃貸経営を行える可能性が高まります。

ターゲットのニーズに合うのか

リフォームする際には、物件のターゲットを明確にすることも重要なポイントです。そのうえで物件の広さや入居人数などを考慮し、ニーズに合うリフォーム方法を考えるようにしましょう。

たとえば学生街にあるワンルームの物件ならば、入居者のターゲットは一人暮らしの学生です。よほど立地条件が悪くなければ、浴槽なしのシャワールームでもニーズに合う可能性は高いと考えられます。一方、ファミリータイプの物件ならば、浴槽付きでバス・トイレ別は必須といえるでしょう。このように、入居者のターゲットを考えて最適と思えるリフォーム方法を選ぶことが大切です。

空室の原因は三点ユニット以外にないのか

物件の空室が目立つ場合、「本当に三点ユニットだけが空室の原因なのか」という点を考える必要があるかもしれません。

全国賃貸新聞社が発表した「この設備がなければ入居が決まらない」TOP10ランキングによると、入居者が求める設備において、単身者向けの1位は「室内洗濯機置場」、2位は「TVモニター付きインターホン」、3位はインターネット無料でした。ファミリー向けの1位は「追い焚き機能」、2位は「室内洗濯機置場」、3位は「TVモニター付きインターホン」となっています。

強盗事件などの対策でセキュリティ性を高めるため、「TVモニター付きインターホン」を必須とする入居者は増加傾向にあります。また、学生はオンライン授業、サラリーマンなどの単身者は在宅勤務による需要から、インターネットが無料完備された物件も人気が高いです。

オーナーはこういったランキングを確認し、本当に三点ユニットだけが原因なのか、三点ユニット以外にターゲットが求めている設備は整っているのかを検討してみることも大切かもしれません。

参考:全国賃貸住宅新聞 – 室内洗濯機置き場、単身首位【人気設備ランキング2022】

三点ユニットのリフォームはターゲットを明確にしてから実行しよう

空室対策の一環として、バス・トイレ・洗面台がセットになった三点ユニットをリフォームすることは有効な方法のひとつです。居住者の満足度が向上するため、入居者が入りやすい物件になる可能性が期待できます。

ただ、三点ユニットバスの分離リフォームは、部屋の構造上の問題から実施できないケースがあります。この場合は、新しい三点ユニットバスへ交換するのが解決策のひとつになるでしょう。

なお、必ずしも空室の原因が三点ユニットだとは限りません。空室の原因がほかにあることもあるので、三点ユニット以外の部分にも目を向けてみることも大切です。三点ユニットのリフォームを決定する際は、本当にリフォームが必要なのか考え、さらにターゲットを明確にしてから実行するようにしましょう。

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