【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介
不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。
著者 広瀬智也
私がお客さんからよく受ける相談の一つに、「融資をどうやって受ければいいのかわからない」というものがあります。一般の方は、自宅を買うときに住宅ローンを借りるくらいしか銀行からお金を借りるケースはないかもしれません。
では、まずは銀行の種類について整理しておきましょう。
▽金融機関別、融資姿勢の違い
銀行の種類 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
都市銀行 | ・全国に支店があるので、全国の不動産を担保に出せる ・比較的金利が低い |
取引にあたってのハードルが高い |
地方銀行 信用金庫 |
審査のハードルが都市銀行よりも低い | ・取引相手や、担保に取る不動産にエリアの制限がある ・金利が都市銀行に比べてやや高め |
ノンバンク | 審査のハードルが低い | 金利が高い |
日本政策金融公庫 | ・全国の不動産を担保に出せる ・固定金利で借りられる |
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銀行は大きく分けて都市銀行と、地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンク、政府系の金融機関といった種類があります。
都市銀行は、三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、りそななどです。これらの銀行は全国に支店があるので、全国の不動産を担保に出せるというメリットがあります。例えば、東京の人が地方に物件を持ちたい場合など、対応可能です。また一般に都市銀行は、地方銀行や信用金庫よりも金利が低いのがメリットです。
デメリットは、個人にはやや敷居が高い点です。また、数百万円とか1000万~2000万円程度の小規模な物件だと、あまり相手にされないでしょう。ただ、都市銀行の中にも不動産に対する融資に対して温度差があり、中には収益還元に基づく担保評価(家賃などの収益を基準に評価額を計算)を導入するなど、個人の不動産投資に対する融資に積極的な銀行もあります。
地方銀行、信用金庫などは、都市銀行よりも敷居が低く、これから始めようとする人にはお勧めです。デメリットとしては、取り引きする相手や担保に取る不動産にエリアの制限がある点です。例えば神奈川県を地盤にしている銀行だと、千葉県や埼玉県に住んでいる人、または千葉県や埼玉県の不動産を担保に融資することができないといったことなどです。また金利は都市銀行に比べて若干高めになることが多いようです。地方銀行の中には、スルガ銀行や静岡銀行のように積極的に投資用不動産への融資を行うところもあります。金利はさらに高めになりますが、審査のスピードが速く、利用しやすい方もおられると思います。
ノンバンクは審査のハードルが低いですが、金利が割高になるのが一般的です。
政府系は日本政策金融公庫が、不動産投資を事業とみなし、融資をしてくれるケースがあります。全国の不動産を担保として見てくれたり、固定金利で借りられたりするなど、取り引きができるととてもメリットがあります。
不動産を借り入れの担保とする方法として根抵当権と抵当権の2通りがあります。
まず根抵当権ですが、これは銀行が独占的に、その額の枠(極度額)を担保にするイメージです。例えばA銀行から 5000万円を借りて物件を購入したとします。どんどん返済が進んで残額が2000万円になったとき、もう一度借りたくなったら、A銀行が再び融資してくれれば、空いた3000万円の担保の枠を利用できます。要するに、 同じ銀行で、空いた枠を使い回しできるわけです。
一方、 抵当権は融資残高が減っていくだけ、ほかの銀行にも枠が空くイメージです。A銀行から5000万円を借りて、同様に残額が2000万円になったとします。A銀行への担保を抵当権で設定しておけば、ほかの銀行も空きは3000万円と見てくれて、B銀行から2番抵当として後順位で融資を受けることが可能になります。ですから、その物件が別の担保として使えそうなときには、 ほかの銀行でも融資を受けられる抵当権にしておくほうが、後々の自由度が高くなります。
根抵当権も抵当権も一長一短で、詰まるところはその人の戦略次第です。長くつき合いたい銀行であれば根抵当権にして繰り返し使えるようにしておいて(担保設定にも手間と費用が発生します)、 どんどん物件を増やしていきたい人は抵当権にしておいて二番抵当、三番抵当など、 うまく担保の枠を使いながらやっていく のがいいのではないでしょうか。
ただし、将来的に売却を考えている物件には、 複雑に担保を付けないほうが賢明です。いったん付けた担保を外すのに再度担保の査定をしなくてはならず、担保価値が不足する場合は、その担保を外す代わりに、別の担保を差し入れなくてはならないケースもあります。長期保有を前提に考えている物件を別担保として提供するのが無難でしょう。
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<著者プロフィール>
広瀬智也(ひろせ・ともや)
1972年北海道札幌市生まれ。1995年に東京大学法学部卒業後、日商岩井(現、双日)の法務部、上海法人にて勤務。2000年、株式会社エリアクエストにて、事業用不動産の賃貸仲介業務を行い、同社の取締役として東証マザーズに上場。2004年、不動産事業を手がける株式会社不動産投資アドバイザーを創業。
現在は、株式会社バンブーインターナショナルにて、不動産・飲食事業を行う。2014年、一般社団法人相続オールインワンの理事に就任。個人・法人で賃貸不動産を所有してきた経験から、不動産経営に関するコンサルティングやセミナーを行う。著書・翻訳書に、『家賃収入が月収を超える!』(小社)、『キャッシュフローを生む不動産投資』(かんき出版)、『世界の不動産投資王が明かす お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ』(東洋経済新報社)などがある