2020.6.8
不動産投資

融資額はどう決まる、収益物件の担保価値額の算出方法

(画像=Roman Babakin/Shutterstock.com)
(画像=Roman Babakin/Shutterstock.com)
目次
担保評価額=時価 ではない
実際の融資限度額の計算に必要な補正の仕方
路線図を用いた担保評価
担保評価額の算出は、不動産オーナーの必須事項

これから、一棟物の不動産オーナーになろうとしている方は、銀行からいかにして融資を引き出すかが、最大の難関とも言えるでしょう。一体いくらの融資がおりるのか、それを算出する方法はいくつかありますが、物件そのものの価値を見極めるのが土地建物の担保評価額です。これをどうやって計算していくか、具体的に見ていきましょう。

担保評価額=時価 ではない

銀行などの金融機関担当者が最も恐れるのは、貸倒れです。しかし、一定数の割合で貸倒れは起きます。そうなった場合、銀行は担保物件を競売にかけます。したがって融資金額は、物件の担保評価額内に抑えるのです。

では、担保評価額はどうやって決定されるのでしょうか。まず下記の計算式を見てください。

担保評価額=時価×担保掛目

このように、一棟物の場合、土地と建物の時価(=今売却したらいくらなのか)ではなく、それに担保掛目を掛けます。普通は、時価より下がるケースが大部分です。

この時価はおおよそ以下の内容から算出されます。

(1)不動産鑑定士によって計算される
(2)路線価(公示地価)などの公的評価
(3)DCF(Discounted Cash Flow)法による、賃料という果実からさかのぼり、投資目線から算出
(4)不動産業者からのヒアリング
(5)レインズやATBBといった不動産のプロが使うツールからの情報

普通は、これらの1つだけから導くのではなく、いくつかを組み合わせた方法をとるケースが多いです。

一棟物収益物件の場合、土地の割合が多いこと、投資としての賃料が重きを置くことから、(2)と(3)を組み合わせて算出するケースが多いようです。

担保掛目は、建物自体の劣化程度、競売にかけるときのコストなどを加味して割り引きます。多くの金融機関では、7~8割と言われています。

こちらもおすすめ
L  担保価値あり物件のメリット・デメリット
L  融資期間はどう決まる?「長ければ長いほどいい」とは限らない

実際の融資限度額の計算に必要な補正の仕方

しかし、実務上融資額を決定する場合、さらに補正がかかります。下記の例でみていきましょう。

仮に時価1億円の一棟物物件があるとしましょう。その担保評価額が8,000万円ですと、差し引きした2,000万円を、頭金として投資家が用意する必要があります。

実需の住宅購入の場合は、何とかその差額を埋めるために購入者側に有利になるよう補正を掛けるケースが多いですが、投資物件では、これがなかなか厳しいのが現状です。

融資限度額=(担保評価額+α(規定値))×β(補正値)

・規定値:新築物件では売買価格まで可能とする、など
・補正値とは:投資家のバックグラウンドや属性などで上乗せする

この計算式が、実際融資を引き出すともいわれています。このαとβは、各金融機関によって異なり、持ち込む先が、どの程度補正をかけてくれるか、が投資家にとっては重要となります。

やはり、属性が良いと言われている、大企業の社員や公務員などは、この補正値があがるケースが多いように見受けられます。

また、この補正値は、融資環境やマクロ経済の状況で大きく変化します。コロナウイルスの影響をまともに受ける現況下では、この補正値も上がりづらいことが予想されます。

路線図を用いた担保評価

ここで、融資限度額の元となる担保評価額の算出方法の一つ、路線価を使った計算方法を見てみましょう。

路線価とは、国税庁が相続税、固定資産税の算出のために、物件の接する道路に価格をつけており、1㎡当たりの金額が書かれています。これをもとに計算します。

国税庁 路線価図・評価倍率表

土地の評価方法は、路線価方式と倍率方式がありますが、ここでは路線価方式の算出方法を見ていきましょう。
 
(出典:国税庁路線価)

この図は、ある場所の実際の路線価を切り取ったものです。例えば「④」の「175D」の意味は、この道路に面した土地の1㎡当たりの土地の路線価は175千円、ということです。

なお「D」は借地権割合といって 該当する土地が借地の場合の評価額が、60%になることを意味します。

仮に200㎡の土地の場合、以下のように算出します。

土地価格3,500万円 = 路線価175千円(円/㎡)×土地面積200(㎡)

次に建物価格ですが、計算に必要なデータは、「建物面積」「築年数」「耐用年数」の3つです。1㎡当たりの建築単価は、国税庁が決める建築価格表を使います。

国税庁 建物の標準的な建築価額表(PDF)

この表によれば、平成22年(今から10年前)の木造建築の価格は156,500円ですから、仮に200㎡の建物の場合、以下のように算出します。

建物価格17,018,181円=1㎡単価156,000円×建物面積200㎡×(1-築年数10年/耐用年数22年)

これらから、土地と建物の純粋な合計評価額は、以下のようになります。

3,500万円+1,701万円=5,201万円

これに金融機関の担保掛目70%だとすると、以下が担保評価額となるわけです。

5,201万円×70%=3,640万円

実務上は、これに周辺の売買価格事例などを加味したものと比較するなどした上で、最終的な担保評価額を算出します。

担保評価額の算出は、不動産オーナーの必須事項

具体的な数字で、融資金額の元となる担保評価額の算出方法を見てきました。これからオーナーになろうとしている方、もしくは、すでにオーナーで資産の組み換えを考えている方には、担保評価額を算出することは必須です。この金額は、金融機関との共通言語ともいえますので、しっかりとおさえておきたいポイントです。

>>今の賃貸経営にお悩みの方はコチラ
 

【オススメ記事】
共同担保を利用して融資を増やす方法とは?
購入したあとに瑕疵が発覚!瑕疵担保免責物件のここに注意
【不動産投資商品】「かぼちゃの馬車」全容と投資スキームの失敗、
   販売側と融資側、そして投資する側にも問題があった

【無料ebook】費用0円ですぐに効果が出る賃貸経営の収入を増やす方法
【無料ebook】民法改正で変わる賃貸経営Q&A

NEXT 不動産投資と減価償却費の関係を“わかりやすさ重視”で徹底解説
PREV 不動産オーナーに必須、役立つ登記事項証明書の見方

関連記事