2022.05.25
税金

不動産投資のデットクロス|シミュレーションや回避・対応策

不動産投資では「税法上の利益」と「キャッシュフロー」が必ずしも一致するとはかぎらないため、「キャッシュがマイナスになっているにもかかわらず、税金を支払わなくてはならない」というケースが生じることがあります。このようなケースは不動産投資において「デッドクロス」と表現します。本記事では、デッドクロスが起こる状態と取るべき対策、有効に節税する方法などを紹介します。デッドクロスが生じた際のリスクを事前に知り、堅実な資金計画を立ててみてください。

【著者】水沢 ひろみ

 

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不動産投資のデッドクロスとは

不動産投資のデッドクロスとは、キャッシュがマイナスであるものの、税金を支払わなくてはならない状態をさしますが、なぜこのような状態が起こるのでしょうか?後ほど詳しく説明しますが、主な原因としては、減価償却期間とローンの返済期間がズレることにあります。

税法上の利益と手元のキャッシュフローは同じではない

不動産投資における税金は、不動産投資によって出た利益にかかるものであって、利益から支払うことを前提にしているはずです。ところが、税金の計算をするための損益計算において「経費として計上できる項目」は税法によって決められており、キャッシュアウトがあったとしても必ずしも経費として計上できないケースもあるのです。

経費として計上するということは、そのぶん利益が少なくなるということですので、税金が少なくなるのを意味します。そのため、税金を減らしたければ計上できる経費はできるだけ多く計上すべきなのですが、何をどの期間に経費として計上すべきかの基準は税法で厳しく定められています。

これによって、実際にキャッシュアウトがあったにもかかわらず経費として計上できない費目や、実際にキャッシュアウトがあった時期と経費として計上できるタイミングがズレる費目が生じます。

キャッシュフローが滞れば「黒字倒産」という可能性も生じる

「キャッシュがマイナスになっているにもかかわらず税金を支払わなくてはならない状態」とは、「税法上の損益計算では黒字になっている」ということです。しかし、キャッシュがマイナスになっているのであれば、現実には税金の支払いが難しくなります。

キャッシュフローが滞ってしまい、税金やローンの支払いができなくなれば、「黒字倒産」と呼ばれる事態にも発展していくことになります。黒字倒産とは、利益の計算上は黒字であるにもかかわらず、手元にキャッシュがないためにキャッシュフローが滞ることで起こる倒産のことです。

次章ではデッドクロスのシミュレーションを紹介し、その後の章からはデッドクロスを避ける方法、デッドクロスが発生した時の対処法、また、そもそもデッドクロスは避けなくてはならないものなのかについて詳しく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

※投資用物件を全額キャッシュで購入しているケースでは、そもそもデッドクロスは問題にする必要がありません。それなので、本記事では物件購入に際してローンを利用しているということを想定して説明していきます。

 

不動産投資|デッドクロスのシミュレーション

デッドクロスの生じている状態は、計算の仕組みが複雑で少々理解が難しい点がありますので、イメージしやすいよう本章では具体的な数値を用いてシミュレーションしていきます。

ここでは、居住用の新築木造アパートを1億円で購入したケースを想定します。不動産取得1年目と、取得から23年後に減価償却期間が経過した後のキャッシュフローの状態を比べて、どのように変化するか見てみましょう。

アパート購入費用:1億円(土地5,000万円・建物5,000万円)
ローン返済期間:35年(元利均等払い)
金利:2%全期間固定
家賃の表面利回り:5%
居住用木造アパートの減価償却期間:22年
(減価償却費の計算:5,000万円(建物の取得原価)÷22年=227万円)
所得税:20%のケースを想定
(不動産所得は他の所得と合算する総合課税なので、合計所得で税率が変わる)
住民税:10%

 
【アパート購入1年目】
➀税引き後利益

家賃収入  :500万円
△支払利息 :約200万円
△減価償却費:約227万円
税引き前利益:約73万円

△所得税・住民税合計:約22万円
税引き後利益    :約51万円

 
②キャッシュフロー計算

家賃収入      :500万円
△所得税・住民税合計:約22万円
△ローン返済額   :約400万円(支払利息約200万円含む)
キャッシュ残    :約78万円

 
アパート購入1年目では、現実的なキャッシュアウトを伴わない減価償却費の約227万円を費用計上できるので、利益が少なくなり、それに基づいて計算する税金も少なくなります。ローン返済額のうち支払利息となる約200万円は経費として計上し利益から差し引けますが、元本の返済にあたる200万円の部分は利益からは差し引くことができません。

最終的なキャッシュ残は、ローンの返済額と減価償却費の差額である27万円分が税引き後利益よりも多くなります。

【アパート購入23年目】
➀税引き後利益

家賃収入  :425万円(※15%ほど下落していると想定)
△支払利息 :約100万円
税引き前利益:約325万円

△所得税・住民税合計:約98万円
税引き後利益    :約227万円

 
②キャッシュフロー計算

家賃収入      :425万円
△所得税・住民税合計:約98万円
△ローン返済額   :約400万円(支払利息約100万円含む)
キャッシュ残    :△約73万円

 
減価償却期間が終了した23年目には、家賃収入はある程度下落していると考えられますので、ここでは下落率を15%ほどに想定しました。

ローンの返済が進み元本も減少しているため、返済額に占める利息の額も約100万円に減っています。さらに、前年まで計上していた減価償却費の計上ができなくなるので、税引き前利益は格段に上がり、税金の額も約98万円に増加します。税金計算上の利益は、家賃収入の減少にもかかわらず増加するのです。

ところが、税法上、費用計上されなくてもローンの支払いは相変わらず続いています。家賃収入が減り税金が増加しているぶん、キャッシュフローは悪化しています。初年度には78万円のプラスだったキャッシュフローは、23年目には73万円のマイナスになってしまいます。

このようなことが起こる原因や対策について、次章でもう少しく詳しく解説していきます。税法上の利益とキャッシュフローのズレはとても理解が難しいポイントではありますが、賃貸経営を行う上ではしっかり理解して対策を取ることが大事といえるでしょう。

不動産投資|デッドクロスが発生する原因

不動産投資のデッドクロスは、主に税法上の利益とキャッシュの動きが異なることから生じます。では、具体的にはどのような場合にこのような状態が生じるのでしょうか?以下に説明します。

ローン返済が進むことで、経費にできる金利が減っていくため

投資用不動産を購入する際には、ローンを利用して資金の借り入れを行うのが一般的だと考えられます。このローンの支払額の中には、利息に該当する部分と元本の返済に該当する部分が含まれていますが、税法上の利益の計算で経費として計上できるのは支払利息のみとなります。

元本に該当する部分のうち建物の購入費用にあたる部分は、以下の減価償却という方法で費用化されていきますが、土地の購入費用に該当する部分は売却されるまで費用化されることはありません。

また、支払利息についてはローンの返済期間中は経費として計上できますが、ローンの返済方法によって毎年の利息の額に違いが生じます。ローンの返済方法には「元金均等返済」という方法と、「元利均等返済」という方法の2つがあります。以下に違いを説明します。


元金均等返済は、返済期間中に均等額の元金を返済する方法です。支払利息の額は元本に比例するので、元本の残金が大きい返済初期には利息の額が大きくなります。そのため、元金均等返済では返済初期のローンの合計返済額が大きくなり、返済が進むにつれて返済額が減少していきます。


一方、元利均等返済は、元金と利息を合わせた返済金額が返済期間中において均等になるよう、毎回の返済額を設定する方法です。先ほどの元金均等返済は返済初期だと利息の額が大きくなると説明しましたが、元利均等返済の場合、毎回の返済額を均等にするために返済初期の支払額に占める元金の割合は少なくなります。その結果、元金均等返済に比べて元金の減り方が遅くなるため、返済期間を通して利息の負担も大きくなります。

両者にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

元金均等返済のメリットは、トータルでの支払い利息の額が元利均等返済に比べて少なくなる点、そして、返済期間が経過するにしたがって返済総額は減少していくため、リスク回避型の投資法に向いている点です。

元利均等返済のメリットは、元金均等返済に比べて初期の返済総額が抑えられるので、不動産投資初期にキャッシュの余裕がなくても投資が可能になるという点です。

どちらの支払い方法も、ローン返済が進むことで経費にできる金利が減っていき、ローンの支払額の中で経費として計上できない元本部分の割合が増えていきますので、デッドクロスを起こすリスクは高くなります。元金均等返済に比べると元利均等返済は元本が減少する速度がゆっくりですので、ローン返済が進んでも元本が残っている割合が高いぶん、元利均等返済のほうがよりデッドクロスを起こす確率は高いといえます。

デッドクロスをできる限り避けるという観点からは、元金均等返済のほうが望ましいといえるでしょう。

減価償却費がなくなることで、経費にできなくなるため

不動産投資でデッドクロスが発生する一番大きな要因は減価償却費といえます。そこで、まずはこの減価償却費について説明していきます。

減価償却費とは?

減価償却費とは、建物や機械、備品など、一定額以上の高額な資産を購入した時に、その購入費用を取得した年度の費用として一括計上するのではなく、「それらの資産を利用することで効果を得ることができる」と考えられる期間にわたって費用計上していく仕組みです。

減価償却を行う根拠の1つ目は、これらの資産を利用する効果は長期に及ぶため、効果が及んでいる利益と対応させて費用として計上しようという考え方です。2つ目は、これらの資産は利用することで時の経過とともに価値が減少していくので、減価償却費として費用計上したぶんをその資産の取得原価から控除し、資産の評価額を減価していこうという考え方です。

なお、建物については減価償却を行いますが、土地は利用することで価値が減少することはないので、減価償却の対象にはなりません。そのため、ローンの元本に該当する部分のうち、建物の購入費用にあたる部分はこの減価償却という方法で費用化されていきますが、土地の購入費用に該当する部分は売却されるまで費用化されることはありません

減価償却費の方法

減価償却の具体的な方法についてですが、従来は定額法という方法と、定率法という方法の選択適用が認められていました。定額法とは、償却期間に渡って毎期均等額で償却していく方法です。定率法とは、前期末の減価償却残高に対して毎期一定率で償却していく方法です。

定額法だと減価償却費は毎期均等額になりますが、定率法だと減価償却が進むにしたがって減っていく帳簿上の価格に同じ比率をかけて計算するので、減価償却費は年々少なくなっていきます。

ただ、この減価償却費の計算法は近年たびたび法改正が行われているので、建物を取得した年度によって異なる計算法が用いられています。取得したのが平成10年4月1日以後であれば、建物の減価償却法は定額法のみとなります。

さらに、平成19年4月1日を境に建物の定額法の計算方法が変更されています。従来の定額法では取得原価の1割は残存価格として減価償却の対象外でしたが、改正後は備忘記録として帳簿上に1円のみ残し、ほぼ全額を減価償却費として費用計上することになりました。

たとえば、5,000万円の建物を20年の期間で減価償却すると、従来の定額法では【5,000万円×0.9÷20年=225万円】ですが、新しい方法では【5,000万円÷20年=250万円(最後の年だけ249万999円)】となります。

また、減価償却を行う期間は耐用年数と呼ばれ、建物の構造や使用目的によって法定されています。参考までに代表的な例を以下に示しますが、詳しくは国税庁のホームページで確認してください。

構造 用途 耐用年数
木造造 住宅用・店舗用 22年
事務所用 24年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 住宅用 47年
店舗用・病院用 39年
事務所用 50年
れんが造・石造・ブロック造 住宅用・店舗用 38年
事務所用 41年

 
詳しくはこちらの国税庁のホームページを参照してください。

減価償却費とデッドクロスの関係

建物の取得原価は、上記の方法で減価償却費として法定の耐用年数にわたり費用計上されます。

しかし、現実的に建物を取得するためのキャッシュアウトが行われるのは、ローンの返済期間に渡ってであり、その支払額はローンの支払い条件に従って異なります。つまり、減価償却費の計上自体は現実的なキャッシュアウトを伴わないのです。反対に、ローンの支払利息は経費として計上できますが、ローンの元本部分はキャッシュアウトしても経費として計上することができません

ローンを長期で組んだ場合、減価償却の期間はローンの返済前に終了することが多くなります。減価償却期間中は建物部分のローンの支払額よりも減価償却費の金額が多くなり、費用が多めに計上されるぶん、利益は少なくなって税金の支払いも少なく済みます。

ところが、減価償却期間が過ぎると、ローンの支払いは残っているのに費用として計上できる減価償却費がなくなるので、「利益があって税金が発生しているが、ローンの支払いがあるために手元にキャッシュが残らない」という事態が発生してしまうのです。

築年数とともに資産価値が下がり、家賃収入が減るため

賃貸物件の建物は期間の経過とともに物理的に劣化していきます。随時リフォームなどでトレンドに合わせていかなければ、資産価値は下がり、家賃収入が減っていくのが通常です。経過年数が増えれば修繕費などの支出が増えて行きますし、家賃収入が減少していけば当然ながら利益は減っていきます。

家賃収入の減少によってデッドクロスが生じるリスクは、税法上の利益とキャッシュフローのズレによって引き起こされるものではありません。しかし、計上できる経費が減少したとしても、収入が十分にあればデッドクロスが生じる可能性は少なくなります。そのため、デッドクロスを回避するには、長期にわたって十分な利回りが見込める物件へ投資することが重要だといえるでしょう。

【物件購入前】デッドクロスの回避策

では、デッドクロスはどのように回避すればよいのでしょうか?物件を購入する前にできる対策を紹介しましょう。

物件購入時の自己資金額を増やす

繰り返しとなりますが、デッドクロスとは費用計上できないローンの支払額が多額にあり、キャッシュフローはマイナスなのに税金の計算上は利益が出てしまい、税金の支払いが必要となっている状態です。

この時、税金の支払いができなくなれば黒字倒産となってしまいますが、物件購入時の自己資金額を増やしてローンを組んでおけば、毎年の返済額の負担はそのぶん少なくなります。事前に負債を減らしておくことでキャッシュフローの安全性が高まり、デッドクロスに陥るリスクを減らすことが可能です。

減価償却期間が長い物件を購入する

減価償却期間は建物の構造や利用目的によって異なります。減価償却期間の長い物件を購入し、ローンの返済期間との落差をなくせば、デッドクロスは起こりにくくなると考えられます。

「元金均等返済」を選択する

上でも説明したように、デッドクロスに対する影響を考えると、ローンの支払い方法を選択する際には元金均等返済のほうが望ましいといえます。元金均等額返済ではローン返済期間を通じて元金の支払額が一定となりますが、元利均等返済は当初の利息の支払い比率が高くなりますので元本がなかなか減りません。そのぶん減価償却期間経過後に元本が残っている比率が高くなるため、元利均等返済よりも元金均等返済のほうが望ましいと考えられます。

【物件購入後】デッドクロスの対応策

物件を購入した後にできるデッドクロスへの対応策はあるのでしょうか?以下に解説していきます。

資金を貯めておく

物件購入時の自己資金額を増やすことでデッドクロスの回避が可能になるのと同様に、物件購入後も「デッドクロスに備えて資金を貯めておく」という方法があります。万が一、デッドクロスに陥り、税金の支払いが困難な状態になっても、十分な資金のプールがあれば慌てることはないでしょう。減価償却期間中はキャッシュアウトを伴わない費用計上ができるぶん、税金の節税効果が生じています。その間に余裕ができた部分はしっかりプールしておくことをおすすめします。

ローンの借り換え、借入期間の延長

ローンの借り換えをしてより低い金利のローンに乗りかえる、あるいは借入期間の延長をして月々のローンの返済額を減らす、という方法もあります。ローンの返済というキャッシュアウトが減れば月々の負担は減り、そのぶん手元にキャッシュが残るので、税金などの支払いに充てることができるようになります。

繰り上げ返済をする

ある程度の資金が溜まってキャッシュに余裕ができたら、タイミングを見て繰り上げ返済をするのも1つです。繰り上げ返済をすると、その後のローンの支払いが楽になりますし、そのぶん利息の負担も軽くなります。

不動産投資|デッドクロスになった場合の対処法

最後に、デッドクロスになった際の対処法を2つ紹介します。物件の状況や自分の投資方針によって、どのような方法が適しているか慎重に判断してみてください。

不動産を売却する

1つ目は、不動産を売却するという方法です。売却することで得た売却益で残りのローンを返済できれば、その後の税金の支払いは必要なくなります。

ただし、不動産を売却して利益が生じた時には譲渡所得が発生しますので注意が必要です。不動産の譲渡所得は、「売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうか」で長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられます。

長期譲渡所得であれば、所得税15%、住民税5%、所得税額の2.1%の復興特別所得税の合計で、20.315%の支払いとなります。しかし、短期譲渡所得の場合には、所得税30%、住民税9%、所得税額の2.1%の復興特別所得税の合計で、39.63%の支払いが必要となります。そのため、不動産の売却を検討する時には、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかに注意し、できれば5年経過後に売却することが望ましいといえます。

【参考】不動産の売却益の計算で注意するポイント!
 
不動産の売却益を計算する際に注意して欲しいのが、売却価格から差し引く不動産の購入原価は減価償却後の価格であるということです。

不動産の売却益は、

売却額-不動産の購入原価=不動産の売却益

 
という計算式で計算します。この時に用いる「不動産の購入原価」というのは、不動産を購入した時の価格ではなく、毎年の減価償却費の累計額を差し引いたものとなります。ですから、減価償却期間経過後に売却する時には、建物の価値は1円となっているので、ほぼ土地代だけになっています。

上の「不動産投資|デッドクロスのシミュレーション」の箇所で用いたサンプル例をもとに、23年経過後に8,000万円で売却できたと仮定した場合、
8,000万円-5,001万円=約3,000万円
となり、約3,000万円の売却益が生じることになります。

8,000万円-1億円=△2,000万円
となる訳ではありませんので、注意しましょう。

不動産を追加で購入する

もう1つの方法として、不動産を追加で購入するという方法もあります。新しく不動産を購入すれば、その不動産の減価償却費を経費として計上できるので、そのぶん課税される利益が減ることになります。

ただし、この方法を行う場合には、追加で購入した不動産の減価償却期間が終了した時点で再度デッドクロスの問題が生じる可能性があることに注意しなければなりません。次々に不動産を購入していき事業を拡大するのか、長期的な経営戦力を考えていく必要があるでしょう。

デッドクロスを利用した節税法

減価償却期間の短い中古物件を購入して、短期間に多額の減価償却を行うことによって税金を圧縮し、長期譲渡所得となる5年経過後に売却するという節税スキームがあります。

デッドクロスを恐れるよりも、「自分の投資手法にいかに利用するか?」という視点を持つことも大切かもしれません。詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

不動産投資のデッドクロスの仕組みを理解してしっかり対策を

キャッシュがマイナスになっているにもかかわらず税金を支払わなくてはならない状態が生じるデッドクロス。税法上の利益とキャッシュフローが一致しないために生じることは理解できましたでしょうか。

不動産投資の仕組み的に、デッドクロスが生じるのはある程度は仕方のないことであるともいえます。それなので、デッドクロスがまったく生じないように対策を取ることよりも、事前にしっかりシミュレーションすることで、デッドクロスが生じても対応できるように備えておくことが大事ではないかと考えられます。

そのためにも、少し難しい内容も含まれているかもしれませんが、ぜひこの記事を参考にしてデッドクロスの仕組みや対応策についての知識を身に付けてみてください。

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