2023.12.12
不動産トピックス

高齢者見守りサービスとは?大家が必要な対策とポイント

高齢化が進む中では、一人暮らしの高齢者は一層増えていくことが見込まれています。しかし、高齢の入居者は孤独死などの心配があるため、アパートなどの貸主としては不安な点が多いのも事実です。そこで活用したいのが、高齢者の見守りサービスです。本記事では高齢者の一人暮らしを見守るサービスについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【著者】矢口 美加子

 

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不動産経営における高齢化対策の重要性

日本においての少子高齢化は急速に進んでおり、高齢者の単独世帯は年々増え続けています。内閣府の資料によれば、2019年時点で65歳以上の人がいる世帯は全世帯の約半分であることがわかります。同様に、65歳以上の一人暮らしも増加傾向であり、65歳以上の人口に占める割合は2015年時点で約21%となっています。このままだと2040年には約25%に到達すると推測されています。

一方で、日本の人口全体は年々減少傾向です。2023年9月1日現在の総人口は1億2445万人で、前年同月に比べ約52万人減少しています。特に15歳未満での減少が目立ち、2023年の15歳未満の人口は1434万6000人ですが、前年同月に比べ約30万人も減少しています。

このままの状態が続くと日本の人口は減少の一途をたどるため、賃貸経営の入居者争奪戦は今後ますます熾烈化することが予想されます。これからの賃貸経営は、高齢者の入居者が増えても対応できるように対策を講じる必要があると考えられます。

参考:内閣府 – 第1章 高齢化の状況(第1節 3)

高齢者向け賃貸住宅に必要な設備とは?

高齢者向けの賃貸物件として貸し出す場合、シニア世代の暮らしやすさに配慮した設備を整えることが必要です。具体的には、以下の設備やサービスを設置すると良いでしょう。

・手すりの設置
・バリアフリー(床の段差の解消・滑りにくい床材への変更)
・引き戸など、使いやすい扉への取り換え
・スロープの設置
・セキュリティ対策
・生活相談
・緊急対応

 
高齢者が暮らしやすいようにするため、介護する人のことを考えた介護リフォームが必要です。たとえば、玄関や廊下、トイレなどに手すりを設置すると、部屋の中で移動しやすくなります。また、床の段差をなくして滑りにくい床材に変更すると、転倒事故の防止に役立ちます。そのほか、軽い力でも開閉しやすい引き戸に交換したり、エントランスにスロープを設置したりなどもあります。

高齢者が安心して暮らせる環境づくりも検討したい点です。日常的なセキュリティ対策、細かいことまで相談できる生活相談、万が一の事態が発生した場合の緊急対応についても準備しておくと安心です。中でも、セキュリティ対策において比較的手軽に導入しやすいのが、高齢者の見守りサービスです。次章では高齢者の見守りサービスについて詳しく解説します。

高齢者の見守りサービスとは?

高齢者の見守りサービスとは、一人暮らしの高齢者が安心して暮らせるようにサポートするサービスです。ここでは、いくつかある見守りサービスのタイプ別の特徴について、タイプ別のメリット・デメリット、費用相場などを紹介します。

訪問型見守りサービスの特徴

訪問型見守りサービスとは、スタッフが高齢者に直接会って安否確認などを行うタイプのサービスです。定期的にスタッフが高齢者の自宅を訪れ、高齢者の相談に乗ったり、食事の摂取状況を聞き取ったりして訪問記録を残します。

高齢者と離れて暮らしている家族は、スタッフから高齢者の生活状況や健康状態を伝えてもらえるため、安心できる点にメリットがあります。また、普段は一人暮らしをしていても、定期的に人(スタッフ)と触れ合うことができるため、社会との接点を保つことにもつながります。

反面、デメリットとして緊急時に対応できないことが挙げられます。スタッフは限られた日程で訪問するため、病気やケガをしたときにすぐ頼れるわけではありません。訪問頻度をあげると料金が高くなり、金銭的負担は大きくなります。また、訪問日には自宅にいる必要があるため、活動的な高齢者の場合は、訪問を億劫に感じる可能性もあります。

利用するサービスにより費用相場には開きがありますが、介護福祉士や看護師などといった専門的な知識を持った人が訪問する場合、月1回・30分間の訪問だと月額1,980円程度、月1回・60分の訪問だと月額2,480円程度です。

オート電話・オートメール型見守りサービスの特徴

オート電話・オートメール型の見守りサービスとは、電話やメールで高齢者の状況を知ることができるタイプのサービスです。高齢者は1日1回、決まった時間帯に自動音声で健康や安否確認の電話を受け、家族はメールでそれに関する情報を受け取ることができます。

料金が比較的安価なため、気軽に導入できるのがメリットです。しかし、電話やメールは自動音声や自動配信で行われるため、安否は確認できますが細かい変化は分かりにくいのがデメリットです。高齢者によっては、毎日かかってくる電話の対応を手間に感じる場合もあります。

費用相場は固定電話と携帯電話により異なり、固定電話の場合は月額700~900円、携帯電話の場合は月額980円~1,400円となります。

センサー型見守りサービスの特徴

センサー型の見守りサービスとは、高齢者の自宅にセンサー式の感知器を設置して安否確認を行うサービスのことです。AIによる人感センサーが部屋の温度・湿度・明るさ・人の動きをリアルタイムで計測するため、そこから部屋の様子を感じ取ることができます。

夏場になると高齢者が熱中症になるケースは多いですが、24時間にわたり危険や異変を見守ることができるので、遠くに住む家族も安心できるのがメリットです。

とはいえ、いくら高齢者の様子を検知してスマホにデータが通知されるといっても、その場の状況を目視できるわけではありません。そのため、すぐに詳しい様子を知ることができないのはデメリットです。異常と判断された場合に、高齢者の自宅まで駆けつけるサービスが提供されていることもあります。

費用相場は、初回契約料として約15,000円、センサー機器の代金として50,000~80,000円程度が発生します。月額利用料は約3,000円程度です。

カメラ型見守りサービスの特徴

カメラ型の見守りサービスとは、高齢者の自宅にカメラを設置して監視することのできるサービスをさします。カメラの映像で高齢者の様子を目視できるため、センサー型とは異なり、リアルタイムで高齢者の状況を把握できるのがメリットです。24時間・365日体制で監視が行われ、高齢者が緊急時に助けを求める場合にも対応しています。

ただし、高齢者のプライバシーが保てない点はデメリットです。人によっては、24時間・365日体制で監視されているのを辛く感じる場合もあります。費用相場は、初回契約料として約50,000円程度、月額利用料として約8,000円程度がかかります。

宅配型見守りサービスの特徴

宅配型の見守りサービスとは、毎日指定の時間に食事を宅配し、その際に高齢者の安否確認を行うサービスのことです。高齢者が食べやすい柔らかさに調理し、栄養面を重視した食事を週5回程度宅配します。

ただし、宅配スタッフは決まった時間に食事を届けることが主な業務であるため、緊急時には対応できません。介護や医療に関する相談は専門のスタッフが担当します。あくまでも宅配食サービスの延長のため、細かいサービスは期待できないといえます。1食につき500円前後が費用相場で、1日2食にすると毎月約2万円がかかります。

通報型見守りサービスの特徴

通報型の見守りサービスとは、急病や転倒事故といった緊急事態が発生したときにスタッフが自宅へ駆けつけて対応するサービスです。高齢者自身が何らかの異変を感じた際、本人が通報ボタンを押すだけでスタッフによる対応がなされます。救急車の要請もスタッフが代行するので最悪の事態を防げる可能性があり、一人暮らしの高齢者でも安心して生活を送ることができます。

ただし、定期的に見守るサービスではないため、非常事態が発生するまで高齢者の異変が分からない点はデメリットと考えられるでしょう。通報型の見守りサービスは毎月3,000円~4,000円程度が費用相場です。

高齢者の見守りサービスは導入ハードルが低いものを選択しよう

見守りサービスは基本的に入居者自身、または入居者の家族が加入するものであるため、大家の判断で強制的に導入することはできません。実際にサービスを利用するのは入居者ですから、見守りサービスとはどういうものか入居者に納得してもらうことが大切です。

操作が難しい・設置が難しい・手間がかかる・監視されているような気分になるものだと、敬遠される可能性があります。大家自身がいくつかの見守りサービスを調査し、入居者に選んでもらうと良いでしょう。

たとえば、一人暮らしをしていて健康な人ならば、訪問型や宅配型の見守りサービスから始めるのも良いかもしれません。定期的に人と会うことで気分転換につながることが期待できます。導入のハードルが低く、使い方が簡単で、精神的に負担にならないサービスが高齢者には向いているといえるでしょう。

家賃保証会社の利用を検討するのもおすすめ

自主管理で賃貸経営を行っている大家さんの場合、高齢者の見守りサービスだけでなく、孤独死保険付帯の家賃保証への加入もリスクヘッジになります。

たとえば、株式会社Casaが提供している「家主ダイレクト」は、自主管理大家向けの家賃保証サービスです。家賃保証・家賃の集金代行・孤独死保険がセットになっており、家賃保証サービスに加入することで孤独死保険にも自動的に加入となります。

もしも入居者が孤独死した場合、家賃損失費用・事故対応費用・原状回復費用・空室期間短縮費用などが補償されます。高齢の入居者だけでなく、すべての入居者に適用されるため、一人暮らしの入居者が多い物件を持つ大家さんには最適なサービスです。

家主ダイレクトの「孤独死保険」の内容

入居者が孤独死した場合、その際に発生する費用の平均として、原状回復費用は39万円、残置物処理費用は24万円で、平均約63万円がかかるとされています。部屋の状態によってはさらに費用が膨らむことがあり、中には最大損害額として400万円を超えるケースも存在します。

それ以外にも、孤独死が発生することで、長期空室のリスクがあったり、隣室や階下の住人の退去が発生したりするなど、収益が大幅に減額する可能性があります。そのため、特に高齢の入居者をもつ大家さんは日頃からこのようなケースを想定しておくことが必要です。家主ダイレクトの孤独死保険の保証内容は、以下をご覧ください。

相続人が不明という状態で遺品の整理を行う場合は、家庭裁判所に申し立てて相続財産管理人を選任してもらうなどの手続きが必要です。もしも相続人以外の人(司法書士など)が相続財産管理人に選任された場合は、相応の報酬を支払う必要があります。このような遺品整理に関しても事故対応費用で補償されるため、大家さんの金銭的負担を軽減できます。

孤独死が発生すると、物件の所有者である大家さんには多大な損害が発生する可能性があるため、孤独死保険をお守り代わりに備えておくと安心です。

見守りサービスは高齢者が負担にならないタイプを選ぼう

近年ではさまざまな見守りサービスが提供されており、一人暮らしの高齢者でも安心して賃貸物件に入居できるようになりました。高齢の入居者はこれからも増えていくことが見込まれますから、大家さんは見守りサービスを上手に活用して、どのような事態にも対応できるように備えていきましょう。

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