【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介
不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。
著者 石原博光
競合物件に差を付ける秘策として、モデルルームを作ってみるという手もあります。僕の大家仲間に、東京の足立区に860万円で古い戸建を買った人がいます。それを676 万円かけてリフォームして賃貸に出したのですが、完成したときに、マンションや住宅の 販売相談会のようにモデルルームを作って内覧会を開いたそうです。
リフォーム自体も建築デザイナーに依頼してセンスよく仕上げているうえに、部屋に設置した家具も代官山のオシャレな輸入家具屋から全部レンタルしたそうで、元は860万円で購入した築古物件とは思えないくらいに見事な仕上がりになっていました。当然に内 覧会も大好評で、そのとき見に来た方が即入居を決めたといいます。なお賃料は戸建といっても狭小で相当な築古のため 万~万円くらいか?(エリアに同じような物件がない ため相場がつかめず)と予想されていたのですが、実際には 万8000円もらっているそうで、いかにプレゼンの仕方が大事かわかりますよね。
僕も3DKからワンルームにフルリフォームをした際、完成後に家具を入れて内覧会をやりました。 日単位で家具をレンタルする業者もありますし、L字型のソファーやキングサイズのベッド、大型テレビやサラウンドスピーカーなどのAV機器も借りられますから、そういうものも入れて普通の3DKでは考えられないようなライフスタイルを提案しよう……と考えていましたが、管理会社さんが販売物件をモデルルーム化するためにお持ちのラグやソファーを貸していただきました。それだとなにせ無料でしたので(笑)。
そういう部屋があると、近隣の業者も珍しさと話題性でお客さんを連れて行きたくなるもので、すごく成約率は高まりました。写真を撮っておいてファイリングしたり、パンフ レットを作ったりするのも、のちのちのためにいいと思います。
また、空室だらけでリフォームが必要な物件を買った場合は、リフォーム期間中の機会 損失を最低限に抑えるために、一室だけ先にすべての内装や設備を仕上げておいて、そこをモデルルームとして使うというテクニックがあります。
実際に入居者が引っ越してくるまでには数週間かかるわけで、その間に契約した部屋の リフォームを仕上げればいいわけです。内見のときには、「ほかの部屋も同じようにリフォームします」ということで見せればいいわけです。
ただ、大きな家具を入れると部屋が狭く見えますから、狭い部屋の場合はへたに多くの家具を入れないほうがいいでしょう。写真を撮るときもできるだけ広角レンズを使って、少しでも広く見えるようにするといいと思います。
入居率が悪い地域でも、レオパレスの賃貸物件は健闘していると聞きます。その要因ははっきりしていて、家具付きで募集しているからです。ベッドに布団、テレビ、冷蔵庫、 電子レンジ、洗濯機、エアコンなど、ほとんど身ひとつで入居できてしまうので、初めて ひとり暮らしをする人、所有物の少ない人、新生活のスタートにお金をあまりかけられな い人や単身赴任者にはとても助かるのだと思います。
ただ、いくら効果があることがわかっていても、そこまで予算をかけるかどうかは判断の分かれるところでしょう。全部用意するとなると買い揃えるのはたいへんです。家電製 品は量販店の廉価品でいいとしても、布団や炊飯器などは人の使ったものは嫌だという人もいるでしょう。また退去があったときに入れ替えたり、古いのを廃棄したりという手間 もたいへんですので、家具付きにするかどうかはオーナーの考え方次第ですね。そこまで するよりは結局は家賃を下げたほうが得ということもあります。
しかし入居者は引っ越しのときが一番たいへんなものです。ベッドや冷蔵庫、洗濯機など大きめの家具家電だけでも揃えてあげるといいのかなと思いますね。前項でも書いたように、家具を入れると部屋が狭く見えるマイナス効果もありますから、例えばリストだけ作っておいて、「入居を決めてくださった方には、冷蔵庫、洗濯機、薄型テレビのどれかひとつをプレゼント 」ということをやってもいいかもしれません。
また、へたに家具を揃えてしまっても、逆に家具を持っている人の選択肢からは外されてしまう可能性があります。ファミリー向け物件では、気に入った家具、使い慣れた機器を持っている人がほとんどでしょうから、これはレオパレス と同じように、単身者向け の物件で有効な戦術なのでしょう。
僕は「家具を揃える」作戦はやらないのですが、例外として照明器具とカーテンや日よけのシェードは必ず内見のときから備えるようにしています。部屋を見せるとき明るいほうが印象はいいですからね。それも、日当たりのいい部屋ばかりではないですし、雨の日 や夜に内見する人もいますから、照明には 畳の部屋には 畳用のものといったようにワット数が大きいものを入れるようにしています。
カーテンは、窓の外がすぐ隣家だったりする場合に、目隠しになりますし、床の日焼けや空室のさびれたイメージを払拭する効果があります。こういうものはホームセンターなどのセールのときにまとめ買いしておきます。照明器具とカーテンだけなら、一部屋当たり 万円もかかりません。できるだけお金を使わず、大きな効果を上げたいものです。
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<著者プロフィール>
石原博光(いしはら・ひろみつ)
1971年生まれ。95年に米国の大学を卒業後、96~97年に東京都の商社に勤務。98年に有限会社恵比寿トレーディングを設立し、化粧品や雑貨などの輸入販売を行う。資金なし、コネなし、まったくのゼロから起業する。2002年から不動産投資を始め、7棟72世帯の規模に拡大。その後4棟を売却し、現在は43室を所有。売却益を渡米後の事業資金に充て、カリフォルニア州で不動産投資事業を始める。現在は永住権を取得し、アメリカ在住。