現金より不動産で相続したほうが相続税の評価額が低くなるため、生前にアパートを建てるオーナーも少なくありません。オーナーの死亡後、そのアパートを引き継いだ相続人はどのような対応をとったらよいのでしょうか。今回は、アパートの相続についてお伝えします。
相続税の節税対策で建てたアパートを相続する場合は、まず不動産投資ローンの残債の有無を確認します。被相続人(故人)が団体信用生命保険に加入していた場合は、死亡とともにローンの支払い義務がなくなるため、相続に残債が残ることはありません。
一方で、団体信用生命保険に加入していなかった場合は、アパートと同時にローンの負債も相続しなければなりません。ただし、ほかに多額の現金を相続する場合は、残債を一括して返済した上で、アパートを経営する方法もあります。
以上の点を確認した上で、アパートを経営することを選択した場合は不動産の名義変更登記を行います。
登記が終わって正式にオーナーになったら、毎月の収支とともに、賃貸状況を確認しておきましょう。引き継いだアパートが現状満室か空室を抱えているかでは、経営の安定度が変わってきます。アパート経営で発生する収入と支出には次のようなものがあります。
【収入の部】
【支出の部】
また、空室の有無や空室期間、過去からの家賃の下落幅なども調べておくと、今後の見通しが立てやすくなります。
もちろん、ローンの残債額も把握し、支払いが何年後まで続くのか、金利が何%以上上昇したら、キャッシュフローがマイナスになってしまうのかなども可視化したほうが、より賃貸経営をコントロールすることができるでしょう。
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アパート経営では次のような税金の支払いも、コストに含めて考えなければなりません。
なお、固定資産税、都市計画税、個人事業税、消費税は経費として計上できます。
引き継いだ時点で物件に修繕が必要な箇所があるのかどうか確認することも、今後の経営を考える上で重要です。修繕箇所の規模によって、修繕の方法が変わってくるからです。一般的にいわれている築年数と修繕規模の関係は次の通りです。
修繕は見積もり比較サイトなどを参考にして、どの修繕にどの程度の費用が必要かを事前にリサーチしておきましょう。また、初期の頃は複数の業者に相見積もりを出してもらい、相場観を養うことができれば大家さんとしてのスキルも高くなります。必要になる修繕を実施することを見据えて、事前に積み立てておく必要があります。
個人でアパートを経営していくためには、管理会社と良好な関係を保っておくことも大事です。入居者募集や税務、法的問題等で管理会社からアドバイスを受けたり、トラブルが生じた際には仲裁に入ってもらうなど、良好な関係性があることでアパート経営をより円滑に進められるようになります。
日常の管理に負担が大きい場合や、滞納リスクが心配な物件であれば、「家賃保証サービス」を行っている管理会社や保証会社と契約する方法もあります。その場合でも管理会社や保証会社と良好な関係を保つことが、アパート経営の成功の秘訣であることに変わりはありません。
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