2021.06.21
不動産投資

【連載#5】不動産会社や営業担当者のどこをチェックしたらいいのか

【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介

不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。

著者 畑中 学

担当者次第で取引の結果は変わる

家の売買の準備にあたり、最後に説明しておきたいのが、「不動産会社と営業担当者選び」です。

売買がうまくいくかどうかは、会社選びよりも担当者選びの方がより重要になります。その理由は、①商品や状況判断、②不動産の知識、③言葉づかい、④段取り、といった営業担当者の能力やスキルによって、選択肢が増えたり、取引条件がよくなったりするからです。

▽不動産売買では営業担当者選びが大事!

たとえば、平成30年4月より説明事項となった、中古戸建ての状態を的確に把握するための建物状況調査というサー ビスがあります。実のところ、このサービスをまだ知らない営業担当者も一定数います。

このサービスの利用により中古戸建てに問題があるとわかった場合、①そのまま買う、②直してもらってから買う、③その分値引きして買う、④買わないという4つの選択肢が生まれます。

ところが、営業担当者がこのサービスを知らなかったら、①そのまま買う、②買わないという2つの選択肢しかなくなります。この場合、もし最適の答えが他の2つだったら、買主は損をすることになります。

▼営業担当者によってサービスに差が出る

こうした落とし穴にはまらないためには、どうしたらいいのか。不動産会社は1社に絞らず複数選んで、各社の営業担当者と会っていき、最終的には営業担当者を見て依頼する会社を決めた方が、よい結果を得られるでしょう。

営業担当者を選ぶ際の判断基準とは

営業担当者の善し悪しを決める指標は、大きく3つあります。

①皆さん(顧客)の立場に沿って物事を考えられるか
②不動産の知識を一定以上持っていて実務スキルとして利用できるか
③専門用語が多い知識やスキルを皆さんにわかりやすく伝えられるか

①は、皆さんの話を希望や条件を最後まで聞きとり、質問にも的確に答えてくれるどうかでわかります。

そもそも皆さんにとっての最適解は皆さん自身の中にありますので、営業担当者は皆さんの話に耳を傾けるべきだと言えます。希望や条件をきちんと聞き取らずに自分の意見を押し付けてくる営業担当者は、避けるのが無難でしょう。

②は、営業担当者が提供してくれるアドバイスの内容でわかります。たとえば、「この土地は第一種低層住居専用地域ですから周りにも高さ10メートルまでの建物しか建ちませんので、日当たりも確保できます」など、プロとしての見解を「なぜそうなのか?」という根拠をもとに示してくれるかどうかで判断できるのです。

また皆さんの解釈や判断が間違っていることを、やはり根拠をもとに指摘する担当者も信頼できるでしょう。

③は、当然ですね。営業担当者がどんなに知識が豊富でも、皆さんが理解できなければ意味がないからです。

また、皆さんが質問をしなくても、アンケートに目を通すなどして、希望や条件に合うような情報を積極的に提供してくれる担当者だと、不動産売買が成功する可能性は高くなることでしょう。

不動産会社は大手と地元のどちらを選ぶべきか

売主と買主にとって大手と(中小規模の)地元のどちらの不動産会社がよいかでしょうか。

売主なら、大手と地元どこに依頼をしてもネット広告ができる不動産会社なら極端な差はありません。

その理由は、一般的に購入検討者は物件を見てから不動産会社を選ぶ傾向がありますので、多くの購入検討者が利用するネット広告ができるのなら、大手・地元の違いは出てこないからです。

むしろ、売主は営業担当者の質で選ぶのが正解です。一方、買主の場合は、単純な売買が目的で営業担当者の質にそれほどの差がないなら、原則として大手を選ぶのが合理的です。

ネット公開前の情報は地元よりも大手の不動産会社が多く持っています。そのため、大手なら公開の前か後かを問わず、さまざまな物件情報を見て比較検討できますので、メリットを多く享受することができます。

また、大手は建物状況調査を無料で行う等の付加価値サービスを用意しているところが多く、法律上の面でも安心した取引ができることも併せると買主は大手での検討を優先すべきと言えます。

▽売主と買主で異なる不動産会社選びの基準

買主が地元の不動産会社を選ぶのはどんな場合か

ただ、これも単純な売買の場合です。

大手と地元の違いは集客力の違いで、集客力があるほど物件情報は多く集まりますが、その分一人ひとりに割く時間は少なくなり、個別対応が難しくなってきます。要は集客した分、効率重視にならざるを得ないのです。

そのため個別対応が必要なケースや営業担当者と意見交換をしながら家を買いたいという、時間がかかって効率があまりよくないケースなら、地元の方が合うと言えるでしょう。

結論としては、大手の集客力を求めて効率重視でもいいなら大手を選ぶべき。そうでなければ地元や、規模・地域にとらわれず会社の姿勢や営業担当者の対応を見て選ぶのが合理的な選択と言えそうです。

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<著者プロフィール>
畑中 学
1974年生まれ。不動産コンサルタント。宅地建物取引士のほか、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者の資格も保有している。東京農業大学大学院で造園を学び、設計事務所に就職。その後、大手不動産会社に転職し7年勤務。不動産の販売・企画・仲介業務に携わり、32歳で支店長となる。2008年に起業し、武蔵野不動産相談室株式会社を設立。代表取締役に就任。以来、不動産コンサルタントとして全国に活動範囲を広げるとともに、不動産ポータルサイトでアドバイザーを務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

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